【連載小説第3回】※エッチシーンあり『クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間』

【連載小説第3回】※エッチシーンあり『クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間』

2018/07/23 18:00

GooglePlayブックス2014ベストセラー受賞作!
オシリス文庫版第1巻丸ごと公開第3回!

クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間 クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間 (オシリス文庫)

クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間
著者:桐刻/イラスト:うなさか

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◆3日目

 4時少し前、味噌汁が煮える匂いで目が覚めた。

「おはようございます。昨日の残りですけど、いいですよね?」

「ん……」

 いいも悪いも俺は気が向いたときにしか食べない。
 だからトイレに行ってヒゲを剃ってきたあとにちゃぶ台の上に並べられていたら食う気分にしかなれなかった。

「たくさん食べてお仕事がんばってきてくださいね」

「お、おう……」

 山のように飯が盛られた茶碗を受け取った。

「あ、今日は昨日より早く帰ってくるから」

 だからどうするって話でもあるが。

「はい、わかりました」

 にこにこと麻友はうなずいた。

 おまえは俺のなんなんだ。
 つか、俺は家出少女となにやってるんだ。

 むず痒くて、落ち着かなくて、面倒くさい。

「いってらっしゃいませー」

 手を振る麻友に見送られて俺はアパートを出た。
 こんなのがあと5日も続くのか。慣れれば大丈夫、なんて思ったが慣れそうにもない。
 なんで家出少女なんて拾ってしまったのか。
 あのとき声なんてかけるんじゃなかった。
 いままでと同じように、誰とも深く関わらず、適当に自分が生きるだけの最低限の付き合いだけしておけばよかった。

 どうして俺は麻友に声をかけたんだ。

 ……そんなことはよく考えなくても自分がいちばんわかっていたし、考えたくもなかった。

 1週間だ、1週間。正確には今日を含めてあと5日。
 5日後には前と同じ、誰にも気を使わない面倒くさくない生活が戻ってくる。
 もし出ていきそうになかったら今度こそ追い出せばいい。

         *

 午前中のバイトを終わらせてアパートに戻った。
 部屋の窓からまたも洗濯物が揺れているのが見えた。また洗濯したのか。そんなにするものあっただろうか、と思ったが……たくさんありそうだな。できるだけ見ないようにして俺はアパートの階段を上り、ドアを開けた。

「お帰りなさい、あ、な、たっ」

 ドアの向こうにはエプロン姿の麻友が立っていた。間違えた、エプロンだけ着た麻友が立っていた。

「うわああっ」

 思わずドアを閉めた。
 な、なんだったんだいまのは……。

「もー、あなたったら仕事先に忘れ物でもしたの?」

「その恰好で出てくるな! 入る、入るから!」

 ドアを開けて平気な顔で出てこようとするから俺は麻友の肩を押して部屋へと押し込んだ。

「せっかくマンネリ化を解消しようと思いましたのに……」

「出会って3日目だろーが、なにがマンネリするってんだ。いいから服を着ろ」

「そうしたいところですが、私の服は現在外に干してまして。いえ、濡れた服が肌にはりつくところを堪能したいというのなら着ますが。あ、大丈夫ですよ、ちゃんとタオルで隠して干してますから」

 頭痛くなってきた。

「……これ着てろ」

 こめかみを押さえながら押入れからズボンと長袖のシャツを取り出して麻友に渡した。
「サイズ大きいです」

「あたりまえだ」

「なるほど、彼シャツ」

「勝手に言ってろ」

 最初は清楚なお嬢様だと思ったのに、なんだこのキャラは。

「そういえば下着は?」

「一緒に干してます。もうすぐ乾くと思いますが」

「最初に着てたやつだけか……買ってこないといけないな」

 俺にはよくわからないけど生理用品とかもいるんだろうか。

「金やるから買ってこいよ」

「いいんですか? どうせいなくなる子のですよ」

「どうせあってもろくなことには使わねーよ」

 麻友が本当に1週間いるというのなら、下着くらい普段使っている食費なんかよりはずっと安い。
 絶対に言わんが。
 財布から金を出そうとして気づいた。

「……ってそういや俺も煙草切らしてたんだ。一緒に行くしかないか」

「下着なしで一緒に歩くなんてドキドキしますね」

「下着はつけろ。乾いてなくても」

「……横暴です……」

         *

 俺たちはスーパーに行くために外を歩いた。
 シャツとジーンズの袖を大きく折り曲げて、麻友は俺の隣を歩く。
 通りすがりの何人かが好奇心の視線を投げてくる。そりゃいかにも隣の彼の服を着てますって感じだもんな。
 でもこっちは腕に絡みつこうとする麻友を追い払うのに忙しくてにらみ返すことしかできない。
 駅前のスーパーに行こうとしたら、本当に強く腕を引っぱられてしまった。

「あ、あの駅前に行くんですか? 昨日はあっちの店に行きましたし、あっちのほうが野菜も安いですよ」

 あっちと言いながら、麻友は駅前とは逆の方向を指差した。たしかにあっちにもスーパーはある。野菜が安いかどうかは普段行かないからわからん。

「あっちは下着がないだろうが」

「でも……」

 明らかにうろたえている。まるで駅前には行ってほしくないような……。
 ……ああ、なるほど。
 こっちに住んでいたわけか。
 持っているものなんて段ボールの札以外なにもなかった。つまり所持金もなく遠くに行くことなんてできない。もちろん電車やタクシーに乗ることさえも。
 そんなことに気づかないふりをしたまま、俺は駅がある方向に向かった。
 俺の袖を軽くつまんだまま黙って歩く麻友。顔はずっと黒いアスファルトを見ている。さっきまでの様子が嘘のようだ。

「ほれ、着いたぞ」

「え、ええ、そうですね」

 スーパーの前についても俺が声をかけるまで顔を上げようとしなかった。
 だけどやはり行き慣れているのか、迷うことなく下着売り場に向かった。財布を渡すとワゴンの中のものを見ないままつかんでレジに行き、俺のところに戻ってきた。

「いいのか、それで」

「いいんですよ。それとも黒のレースなんかがお好みだったりしますか?」

「べつに。食料買いに行くぞ」

 俺は野菜なんて買ったことないから全部麻友に任せた。麻友はカゴの中に食べ物をさっさと放り込んで5分以内に買い物を終わらせた。なのに1000円を超えてなかった。
 とくに文句はない。
 とくに文句はないんだがな。

 期待しているなにかが起こらなくてつまらない。

「克樹さん、早く帰りましょう」

「あ、ああ」

 出口へ早歩きで向かう麻友の足が止まった。
 明らかに一方向を見ないようにしている。
 やっと知り合いのご登場か。できるなら声をかけてそのまま家族へと引き渡してもらいたいものだ。
 なのにいつまで経っても麻友に声をかける人間はいなかった。
 だけどひとり、ただひとり。
 麻友と同じように、麻友がいる方向を見ないようにしている人間がいた。地味なカーディガンとスカートを着た若いような、年寄りのような、年齢不詳の女性。
 見ただけで麻友とはどんな関係かわかった。ふたりとも同じ素振りをしているからよけいに。
 女性はこっちを見ないまま、スーパーの奥へと消えていった。

「あの人……」

「母です」

「…………」

 やっぱり。

「優しそうな人じゃないか」

「優しい人ですよ。いえ、優しくしないと他人に嫌われると思い込んでるかわいそうな人です。利用されているとわかっているにも関わらず他人の言うことをほいほい聞く、そんな人です。……そう、恋人に自分の娘の身体をよこせと言われたらバカ正直に娘に相談に来る、そんな人なんです」

 顔も見せずに麻友は答えた。

「…………」

 捜索届はたぶん出ていないという話を思い出す。
 そして『拾ってください』と書かれた段ボール札をぶら下げていた姿も。
 麻友は俺のほうを向き、いつものようににっこり笑った。

「なーんて、全部嘘です。あの人はただの通りすがりの主婦。私はちょっと妄想癖がある家なき子です。どうです、おもしろかったでしょう」

「それは……」
 おもしろかったと言ってほしいのか?
 それともつまらないとでも。
 なんと答えればいいのかわからないまま俺たちはアパートに戻った。

 ああ、本当に面倒くさい。

         *

 家に帰ってすぐに麻友は台所に立った。
 歌を口ずさむことなく無言で包丁を動かす様は少し怖かった。
 そしてあっという間に並ぶ今日の昼飯。チキンカツにサラダ、味噌汁に卵焼きと、どこかの定食みたいだ。
 黙ってちゃぶ台の前に座るとやっと麻友は口を開いた。

「……克樹さん、わざと駅前に行ったでしょう?」

「さぁ、なんのことだ? 早く食べないと冷めるぞ」

 一口サイズに切られたチキンカツをつまんで口に入れた。やっぱり揚げ物はできたてがいちばんうまいな。熱いが。

「あなたのせいで傷つきました。なぐさめてもらわないと癒えそうにありません」

 皿に乗った玉子焼きをひとつ向こうの皿に乗せた。

「そうじゃなくてですね」

 もうひとつ乗せてみた。

「そうじゃなくてですね?」

「なんだ、まだいるのか。わがままだな」

「…………」

 やけになったのか玉子焼き全部取られてしまった。一口も食べてないのに。

「じゃあ、なにやればいいんだよ。ほかのはやらんぞ」

「違いますよ、行動で示したらどうですか」

「行動って?」

 本当になにやればいいんだ。チキンカツか。さすがにそれはな。

「キスとか、キスとか、キスですよ。はいキースキースキースキース」

 手拍子でも叩きそうな口調だ。

「なんて色気のないねだり方だ……」

「ぶちゅーっていっちゃいましょうよ、男なら」

「うるせー、黙れ、これでもくらえ」

 これ以上しゃべらせたくもなかったから俺は本当にキスしてやった。
 口が開いたまんまになっていたからついでに舌も入れて。どうすればいいのかなんてわからなかったけど、舌を絡め取ったり、頬の肉を軽く噛んだりした。
 どうせ向こうもやり方なんてわかんねーよ。
 なのに同じように俺の舌に絡めてこようとしたり、こっちの舌を軽く噛んだり、一生懸命麻友は答えようとしていた。
 息をすることも忘れしばらく貪り合い、そして離れた。
 離れたとたん、俺たちはバッと反対側を向いた。

「……煙草臭いです、気持ち悪いー……」

「こっちだって玉子焼きの味しかしなかったぞ。いろんなロマンを返せ、このやろ」

「ロマンってなんですか。おっぱいですか? おっぱいのことですか? 巨乳系多かったですね。そんなに脂肪の塊にロマンを感じるんですか?」

「ああ? なんでおまえいきなりそんなこと言い……って見たな!? 人の本勝手に!」
 半年も前に行方不明になったから存在なんてすっかり忘れていたのに。

「勝手に使っていいって言ったのはそっちじゃないですか。あー、つまり克樹さん、ああいう本の知識しかないから私に手を出さないんですね? この童貞野郎」

「うるせー、決めつけんな処女」

「じゃあ証明してくださいよ、童貞じゃないって。いますぐ。ほら。経験豊富なところを見せてくださいよ、童貞」

「そんなに言うなら見せてやるよ」

 麻友の肩をつかんで開いたままになっていたソファベッドに押し倒した。ぎ、と中身のパイプが悲鳴をあげた。
 抵抗はなかった。
 じ、と黒くまっすぐな目が俺をにらみつけるわけでもなく、ただ見ていた。

「……どうしたんですか、証明するんでしょう」

「いや……だってなんでこんな下手な挑発したの」

 なんとなくノリで押し倒してしまったが続きをやる気はなかった。
 麻友なりの誘いを避け続けた意地もある。深く関わればもっと面倒くさいことになるのもわかってる。
 ただ理由だけは面倒くさくても聞いておきたかった。

「血がつながってないのなら、身体をつなげたら家族になれるって言われたんです」

 ぽつ、と麻友はつぶやいた。

「身体をつなぐことでしか家族になれないんなら、私は自分で家族を選びたい、そう思ったんです。いけないですか?」

「選びたいんならコンビニの前であんなことするなよ」

「あのときは本当に誰でもよかったんです。処女じゃなくなればあの人の興味もなくなるかもと思いまして。でもいまは」

「いまは?」

「……さぁ?」
 答えそうにもなかったからもう一度軽くキスをした。
 選びたいんなら選ばせてやるよ。
 面倒くさくなる?
 知るか。

「……あの」

 シャツの上から麻友の身体に触れたら、小さく声をかけられた。

「なんだよ。いまさら止めねーぞ」

「カーテンと窓くらいは……閉めてください」

「……わがままなやつ」

 だけど言われたとおりにカーテンと窓を閉めた。遮光カーテンだから閉めれば夜のように、とは言わないがそれなりに暗くなる。まだ暑いからクーラーのスイッチも忘れずに入れた。ただし古いものだから効果は期待できない。
 薄い光のなかで、ソファベッドにあお向けになっている麻友。ぶかぶかのシャツがめくれて白い腰が見えている。
 吸い込まれるように手を差し入れると、少しだけ硬くなっている突起に爪先が触れた。


「……んっ」

「おい、ブラ……」

「だって濡れてるの気持ち悪いじゃないですか」

 ぜんぜん気づかなかった。
 ノーブラというものはもっと胸のかたちがわかりそうな……。

「……そう、だよな……かわいそうに……」

「なんで哀れむんですか! 撤回してください!」

 まさか下も穿いてないんじゃないだろうか。
 ズボンに手を差し込むと湿気てるくせに人肌に温もってる布地に触れた。これはたしかに気持ち悪い。

「すごいな……洗濯したあとみたいに濡れている。まだキスしかしてないのに」

「みたいじゃなくてそのとおりでしょう」

「そうだっけ」

 シャツの中に入れたままの手をさらに差し入れ、手のひら全体で押さえ込んだ。予想どおりと言うべきか、全部覆い込めてしまう。ふに、と温かく柔らかいなにかを押し潰す感触が伝わった。

「……んっ…………!」

 揉むどころか柔く押し込んでるだけなのに、麻友は指をぐっと握り込み、声をこぼさないように唇を噛みしめてた。
 なんかつまらない。
 胸の突起をおもいきりつまんで揉みつぶした。

「ひぁっ、んんっ!」

 白い腰を跳ね上がらせて反応する麻友。指に挟んでいる乳首の硬さも増したような気がする。続けて乳首の先端に爪先を強く食い込ませた。

「ふぁっ、もっ、もっと、……んんっ、優しくっ、ひぁっ、して、くださっ」

「善処するかもしれない」

「なんですかその曖昧なっ、あんっ!」

 楽しい。
 いつもは振り回されてるような気がしてるぶん、楽しい。
 小さな膨らみを手の腹全体でこねるように押す。小さいから感触なんて楽しめないと思っていたらむしろ逆で、ほどよい弾力の塊がかたちを変える様子が手に感じてわかっておもしろい。
 なによりも。

「ん、んっ…………は、……あぅ……」

 いつもは面倒くさいことしか口にしない麻友が呼吸を荒くし、口から甘い声を漏らし、目に涙を溜めてこっちを呆けた目で見つめていることが……。

 気持ちいい。

「あの……なんでそんなに胸ばっかり……」

「育つかなって思って」

「揉んでいきなり育ったら苦労しませんよ……」

 ふ、とどこか遠い目になる麻友。

「……苦労したんだな……かわいそうに……」

「だから哀れまないでください!」

「あー……」

 なにか言い返そうとしたが面倒くさくなった。
 いまはそれよりも、もっと別の姿が見たい。
 麻友が穿いているズボンのチャックを下ろし、手をさっきよりも深く差し込んだ。

「……ひぅっ」

「濡れてるぞ」

「……洗濯したあとですから」

「本当に?」

 どう考えても中指と人差し指に触れる湿り気はほかとは違う。どこか胸の膨らみに似た小さな恥丘の割れ目を指でそっとなぞった。

「あっ……あぅ……」

 布地の上から中指の関節をぐ、と食い込ませて擦りつけた。

「んんっ、あっ」

 麻友の腰がびくっと跳ねた。じわ、と下着のあいだから漏れる水気の量も増えた気がする。

「ふむ」

「なにが、ふむなんですかっ」

「べつに」

 良さそうだなと思って。
 言ったら面倒くさいことになるから言わない。
 そのまま下着にできている薄い溝を撫で上げるように擦り、布地の上から淫唇を強く押し込んだ。

「んっ、あっあっ……はぁ……」

 内腿が緊張と不安で震えているくせに、腰が浮かんで指に強く割れ目が擦りつけられる。たぶん麻友は意識していない。
 割れ目の溝を上へとなぞると小さく膨らんだなにかに触れた。だから指の腹で潰すように押した。

「ひっ、んんっ! ……ふぁあ……」

 布地の上からもわかるくらい硬くなった豆粒のようなものを、指の腹でこりこりと転がした。布地に染みる蜜の量がじゅぷりと増えた。

「洗濯したばっかなのにな」

「あっ、あなたがそのまま触るからっ!」

「え、直接触ってほしかった?」

 手をショーツの中へと差し込んだ。直接触れるせいか熱や湿気をより感じる。薄くしか生えていない陰毛の中、濡れた肉の芽が指先に直接触れた。

「やっ! っだ……そこっ……ふぁああぅっ」

 いままでよりもずっと強い反応を示す麻友。荒い息をはぁはぁと吐きながらソファベッドのそばに落ちていた毛布をつかんでいた。
 でもまだ余裕はありそうだ。
 クリトリスの下、割れ目の奥に指を這わせると、ひくつく粘膜が指の先に触れた。だからもっと差し入れて指を擦りつけた。

「……ひぁ……んんっ」

 麻友は瞼をきゅっと閉じて耐えていた。
 淫唇の中で指の関節を折り曲げたり、曲げた関節をひくつく粘膜に押し当てるたびに麻友の腰は小さく跳ね、指に秘肉と愛液がとろとろと絡みついた。

「……どう?」

「……さ、さぁ……」

 この期におよんで麻友はとぼけようとする。

「じゃあ、これは?」

 いままで1本しか差し込んでなかった指を3本に増やし、指の出し入れを速めた。質量が増えたせいで狭い膣の壁の感触をより感じる。膣の奥から溢れてくる愛液がまとわりついて潤滑油になってくれた。

「やぁっ! は、あっ、あんあぁっ! ふぁっ、……ンッあうっ」

 絶え間なく嬌声をこぼす麻友に俺はもう一度聞いた。

「いい? 悪い?」

「そ、んなの……っ、んんっ!」

 聞かなくてもわかるくせに、と生理的な涙で潤んだ目がにらみつけてきた。

「まぁいいや」

 俺はクリトリスを指のあいだにはさみ、ぐに、と強く押し込んだ。

「ひぁっ! ……だ、……やぁ、だっ! もっ、あっあっあっ」

 指のつけ根でクリトリスを挟みながら指の先を淫唇の中に押し込んで上下に出し入れ、空いているもう片手で麻友が着ているシャツをたくし上げた。
 白く小さい乳房がぽろっとこぼれた。
 仰向けに寝ているのにピンク色をした乳首がピンと立っている。柔らかさはさっきさんざん触ったから知っている。手のひらに吸いつくようなみずみずしい肌の感触も。
 あらためて、胸の突起を親指でゆっくりと、ただし強く潰した。

「あ、あっ、んんっ! 克樹、さ……そん、な、……やあっ!」

 白い腰をびくびくと跳ねさせて麻友は啼(な)いた。指に絡みつく秘肉の震えも、愛液の量もさっきよりずっと増えていた。
 やり方がこれでいいかだなんてちっともわからない。
 ……だけど、もっと俺の手で翻弄される麻友の姿が見たい。
 小さな乳房をこねるように潰し、淫唇の粘膜を指でいたぶり、手を気が向くままに動かした。
 面倒くさいことなんて、もう忘れた。

「あん、あっあっ、ふぁ、……やぁんぅぅ! もっ、ダメ、です……っ! んんんんっ!」

 麻友の腰が強く跳ね、きゅうっと膣の肉が指を包み、次の瞬間、麻友は糸が切れた操り人形のように力なく身体をくたりと投げ出していた。
 イったか。

「気持ちよかった?」

「……ばか……」

 息を荒らげながら涙目で俺をにらみ上げる麻友。頬は赤く染まり、唇は唾液でぬらぬらと光っていた。まるでさっきまで触れていた性器のように。
 ちっとも怖くなんかない。……というか、ずく、と下半身に響くなにかがあった。

「……あの……」

 不安と期待が入り混じった目で麻友はつぶやいた。

「ああ」

 こんなのは身体をつなげたとは言えない。
 まだ選ばれてなんかいない。
 サイズがまったく合っていないズボンを引っぱって脱がし、ついでに初日に見たブラと同じ色のショーツを脚から脱がせた。

「……ちょ、ちょっと待ってくだ……」

「待たない」

 膝を折りたたませて胸のほうへと押しつけた。

「あ……あの……ほんとに……」

 顔を赤くしてなにかをもごもごと訴えてきた。
 恥ずかしいんだろうな。
 だけどそんなことには気づかないふりをする。面倒くさいから。

「…………」

 とうとう麻友の口から言葉が漏れなくなった。
 シャツを鎖骨までたくし上げられ、緊張でぴんと張った乳首や、膝を折りたたんだままの格好でこちらに濡れた性器を見せつける麻友の姿。くち、とわずかな水音がして、淫唇のあいだから液がこぼれたのが見えた。
 頬を赤く染めた麻友がこっちを見ながら唇をきゅっと噛んだ。

 ……そんなものを見ればいろんなことを本当に忘れてしまいそうになる。

 俺はソファに身体を横たえたままの麻友に覆い被さった。ぎち、とソファベッドがふたりぶんの重みに強い悲鳴をあげた。

 唾を呑み込む白い喉。
 じっとりとにじんだ汗で前髪が張りつく額。

 俺はその前髪を指で払いながら聞いた。
「本当に身体をつなげたら家族になれるって思ってるのか?」

「……そんな簡単にいくのなら世の中難しくありません」

「だよな」

 俺はこれ以上しゃべらせない、しゃべらないために、麻友と唇を重ねた。
 なら、これはなんのために?
 瞼を閉じる前の麻友の目がそう聞いたような気がした。

 ……これはただの傷の舐め合いだ。

 次に残るものなんてきっとなにもない。
 1週間すぎたら、今日から4日すぎれば、元のひとりきりの生活が戻ってくる。
 少なくとも俺にとっては。

 亀頭の先端を麻友の小さな性器の入り口にあてがい、ゆっくりと押し進んだ。

「く、ぅっ……!」

 狭い。そんなことは小柄な麻友の身体のことを考えればわかること。
 このまま無理やり押し進んで、麻友のことなんて考えずにひたすらに腰を動かして性欲を発散させたい。そう本能が訴えていた。

「克樹、さ……」

 なにかに耐えながら俺の名前を呼ぶ麻友。
 俺も唇を噛みながら耐え、腰を進めると、亀頭の先端に柔らかい粘膜が触れた。

「我慢、しろよ」

 勢いをつけて一気に突いた。
 び、となにかを裂く感触が亀頭から伝わった。
 その瞬間。

「え、ええっ、ふぇえ? ……いっっ! いっったぁあ――いっっ!! いたい、いたいいたいいたいっ! もう無理ですってば! やだっもー、ばかっいたいっ! ばかばかばか! ひどい、克樹さんもっと優しくしてっ……いっ………………たぁー…………」

 ぎゃあぎゃあと色気もなく麻友は叫んだ。叫んだ直後にスタミナを使いきったかのようにくたりと首を落とした。

「処女失った直後にそれだけ暴れればなぁ」

 それにまだ入れたばっかりだし。

「……ひどいです、こういうときってもっと甘く優しくしてくれるものだって思ってました……」

「や、早めにやったほうが痛みも少ないって……書いてあったから」

 半年前になくしたエロ本に。
 教訓、つまり百聞は一見にしかず?

「……いろんなロマン返してくださいぃ~……」

 しくしくと麻友は泣いた。処女を奪われたことよりも想像どおりのなにかじゃなかったことに。

「たぶん半分以上おまえが悪い」

 それにロマンで言ったらついさっき俺も奪われた。

「じゃあ動くから力抜けよ」

「むっ、無理、です……んっ……いたぁ……」

 動くといっても膣の肉がぎちぎちに硬く締めつけてきて、無理に動くと俺のほうもいろいろと痛めそうだ。
 仕方ないから小刻みに腰を揺らした。亀頭を膣の奥へと柔く押し込んだり、腰全体を使って麻友の脚を持ち上げるように、力の入れ方を微妙に変えながら。

「んっ……ふぁ……ん、ん、……あ、あっ、……んく、あうっ」

 眉間に皺を寄せて本当に痛そうだった麻友の顔が火照り、声も甘く蕩けたものに変わっていく。
 力の入れ方を変えることしかできなかったのに膣の粘膜から溢れてきた愛液のおかげで腰を動かすことができるようになってきた。
 ペニスを淫唇の入り口まで引き抜いて、一気に押し込んだ。

「いあっ、ンんああああっ!」

 白い喉を仰け反らせて麻友は啼いた。
 構わずに行動を繰り返す。
 ぐちゅぐちゅと接合部から漏れる水音が夏の熱気に蒸らされた部屋の中に響いた。
 暑い。
 ちくしょう、やっぱりクーラー効いてねえ。

「あっあっあっ、かつき、さっ、……んんっ、あっあっ」

 動くには充分な潤滑油は溢れているけれど、やはり麻友の膣内は狭くて小さい。破瓜で傷ついたばかりの膣がきついほどに陰茎を締め上げてくる。
 狭い膣内を犯すために、麻友の膝裏を抱えてより強く押し込んだ。

「やっ、だぁっ、んんっ! や、あっあっあっんんあっ!」

 腰を動かすたびに聞こえる麻友の嬌声。

「克樹、さ……」

 絶え間に呼ぶ俺の名前。
 涙で潤んで焦点の合わない瞳が俺を見上げていた。
 額に浮かぶ汗は暑いからか、それとも身体にくすぶる熱のせいかはわからない。

「ふぁ、あっあっ、も、だめっ、……イク、イっちゃいます……! あっ、あっあっ……んんっ、あああっ!!」

 白い喉を大きく仰け反らせ、小さな乳房を震わせ、汗が浮かぶ腹をふるふると跳ねさせ、膣壁がきゅうっと一気に収縮した。
 全部搾り取られるような気がしてあわてて引き抜いた。ずるんと抜けたペニスが麻友の腹の上に白い精液をぶちまけた。

「……あ……」

 無意識なのか、麻友は名残惜しそうに精液の一部を指で撫でつけた。
 おぼろげな視線のまま頬を染め、白い肌を熱くさせ、息を荒らげたまま俺のソファベッドに横たわる黒髪の少女。
 思わず唾を飲み込んで、あわててうしろを向いた。
 危ない危ない。
 射精したばっかりなのにペニスが反応しかけた。
 いつものサイズになったそれには赤い血と体液が生々しくべとりとついていた。

「……克樹さん……あの……」

 そんな俺の背中に弱々しい声がかけられた。

「な、なに?」

 合意のはずなのになぜかうしろめたくなってしまう。

「……おかず、ラップかけて冷蔵庫に入れてください……」

 傷んじゃいます、なんて言ったまま麻友は頭をことりと落とした。すぅすぅと気持ち良さそうな寝息までたててやがる。

「……なんて色気のない」

 まぁ、しかし、べつにいいか。
 遺言のとおりにラップをかけて冷蔵庫に入れてやった。シャツを首にひっかけてほぼ全裸のまま眠り続ける麻友の身体には毛布をかけた。

「安らかに眠れよ」

 聞いていたら張り倒されそうだが本当に寝ているからそれもなかった。
 ついでに窓を開けてどこか湿っぽい空気と熱を追い出し、煙草を取り出した。

「……さて」

 結局、深く関わってしまった。

 最初に出会ったときに追い払ったハゲ親父のことを笑えない。

「……セックスしたくらいで赤の他人と家族になれるんなら苦労はしねーよ」

 聞いていないのはわかっているはずなのに、俺は吐き捨てるようにつぶやいていた。
 血のつながりがある本当の家族でさえ離れていくっていうのに、赤の他人が家族だなんて面倒くさいこともすべて引き受けてくれる存在になってくれるわけがない。

 できるとしたら――それは傷の舐め合いだけ。

         *

 夕方もすぎ、空が藍色に変わり始めた頃に麻友は身体をのろのろと起こした。

「身体べたべたします……シャワー浴びていいですか……」

「どぞ」

 床に放り投げたままのズボンを拾い、ゆっくりと、ときたま身体をひきずるように麻友は風呂場へ歩いた。麻友にとっては大きなサイズのシャツの裾から白い脚が伸び、さっきさんざん抱えていた膝の裏が見えた。あわてて目を背けた。
 あいつが風呂に入ってるあいだに冷蔵庫のチキンカツを取り出してレンジで温めた。鍋に戻しておいた味噌汁にも火を入れた。
 風呂場から戻った麻友がちゃぶ台に並んでいるおかずを見て「うわぁ……」と小さな声を漏らした。喜びとか感心のような感情とは真逆の声だった。なんつーか、うわぁ、ものすごく珍しいもの見てしまいました、気持ち悪いです、と言いたげな。

「ものすごく珍しいもの見てしまいました、気持ち悪いです」

「本当に言うなよ、おまえはさ! ……いいや、飯食おう」

 そして俺たちは昼食兼夕食を食べ始めた。

「……そういやパンツは?」

「心配しなくても新しいほうを穿いてますよ。明日の朝洗いますから、匂いを嗅ぎたかったら洗濯機の中のをどうぞ」

「いや、嗅ぐかよ」

 というか飯を食いながらなんてことを話してるんだ、俺たちは。
 もっと飯時にふさわしい話題があるだろ、話題が。

「……あ、そうだ。俺、明日と明後日バイトないから」

 生きるための必要最低限しか働きたくない。だから働いている日なんて週に半分くらいだ。

「そうなんですか? じゃあずっと一緒にいられますね」

 麻友はにっこりと笑った。

 こいつは1週間、今日から4日すぎたら出ていくと言っていたが。
 ……どこに行くつもりなんだろう。

 聞くのはすごく面倒くさそうだ。
 だからやめた。

第1巻まるごと公開第4回は7/24(火)18時より公開!

●【連載小説第4回】※エッチシーンあり『クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間』

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クーデレすぎる未来の嫁の面倒な7日間

著者:桐刻
イラスト:うなさか
レーベル:オシリス文庫


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