【連載小説第2回】『 ハーレム! ちっちゃな魔王の淫らな後宮(1)』

【連載小説第2回】『 ハーレム! ちっちゃな魔王の淫らな後宮(1)』

2018/09/22 18:00

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ハーレム! ちっちゃな魔王の淫らな後宮(1) (オシリス文庫)

ハーレム! ちっちゃな魔王の淫らな後宮(1)
著者:紫/イラスト:月猫

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■序Ⅱ 純白の心に眠るどす黒い欲望

 暗い、暗い部屋には無数の本棚が並べられていた。光はいっさいなく、真っ暗な暗闇に包まれたこの部屋は、まるで今のユアンの心境を表わしているかのようだった。レンガ造りのぶ厚い壁にもたれ、書庫の片隅に腰をかけている。
 魔王であった父親が作った、勉強用に用意した書庫。それは地下に作られているものの、有能なメイドによってしっかり湿度や温度調整がなされていた。よってすべての本の管理状態はよく、床にもどこにも埃《ほこり》のひとつすら落ちていない。

「うぅ……う」

 朝っぱらから衝撃的な言葉を聞いたユアンは、目から大粒の雫を流しながら指を鳴らす。心は悲しみに震えていても、頭ではなにをしたらいいのかわかっているらしい。
 どこからともなく現われた、白い火の玉が闇に覆われた空間を照らした。服の袖で目をぬぐい、次から次へとあふれる涙と格闘しながら、本の種類を見分けていく。
 背伸びをし、小さな手を一生懸命に伸ばしては高いところに置いてある本を取る。歴代の魔王たちが、どのようにして魔王と認められたのか。いわゆる歴史の本を主として複数取り出した。感情に身を任せ、机の上に叩きつけると豪快に開く。そして、文のひとつひとつに目を通していった。
 もともと勤勉だったユアンは文字を読むスピードが速く、厚い本でも数時間のうちに読み終えた。しかし目に飛び込んでくるのは、ほかの世界を滅ぼした内容のみ。なかにはべつの話もあったが、今の彼には達成できそうにもなかった。なにせ、高価な宝や美術品には興味はいっさい湧かず、魔物に関しても捕まえようとする気持ちが起きない。
 自分にいらだち、愛しの女性がどこかに行ってしまうという焦燥に駆られ、次々と本棚を荒らし、文章を雑に読み進めていく。

「あぁ……もう!」

 今まで感じたことのなかった負の感情が、無邪気な心に根づいていく。何度も何度も本棚と机を行き来するうちに、本がいやに詰め込まれた棚に行き着く。気になるタイトルを見つけ、取ろうとするもなかなか抜けない。心から余裕のなくなっていたユアンは、力の限りを使って本を引き抜いた。直後、音を立てて崩れる本棚。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ユアンは無数の本と、本棚の下敷きになってしまう。

「ぐぅ……う。どうしてこんなことに。僕は……僕は、ただ普通に暮らしたいだけなのに……」

 悪いときに悪いことが重なり、うしろ向きの感情を言葉にして漏らす。すると、オニキスと出会った頃の思い出が頭をよぎり、昔はよかったなと過去に思いを馳せる。
 ユアンがオニキスと出会ったのは、じつに70年前。まだ父親が生きていた頃、自身の世話役として自らが選んだのだ。
 理由は、ひと目惚れそのものだった。理知的で美しい顔、澄んだ声色もそうだが、思春期まっただなかの彼の気をもっとも引いたのは、豊かに膨らんだ乳房。
 キッチリとメイド服を着こなし目立たないよう工夫をしているものの、盛り上がった胸の膨らみは隠しきれていない。
 女性の体にはめったに触れていけない、という父親の教えがなければ真っ先に伸ばしていただろう禁断の果実。純朴な心は親の教えを必死に守り、純粋をつらぬいてきた。だが、もうすぐ別れるかもしれないのであれば、とユアンに魔が差す。
 その時、ふと目にしたのはいくつもの鎖でグルグル巻きにされた本。あまりにも巻かれに巻かれているので、本来の厚さの10倍に膨れ上がっていた。

「これがつっかえていたのかな?」

 その本を手に取ろうとすると、触れた瞬間にバチッ! と電流が走る。反射的に手を引っ込めたユアンは目を凝らしてその本を見つめた。

「なんだ……これ?」

 あまりに厳重な封印は通常、魔典や禁断の秘術が記された書物にかけられるものだ。ふだんならば『触らぬ神に祟りなし』と気に留めないところだが、今日は違っていた。
 なかにはなにがあるのだろうと、禁断の果実を目にしたような好奇心が純真な心を支配していく。

「よし、見てろよ……!」

 珍しく趣味以外のことにやる気を出したユアンは、自身の全能力をつぎ込んで本の封印を解こうと試みる。両手を本にかざし、口元を小さく動かして呪文を唱える。
 すると、本が青白い輝きを放ちながら電撃をほとばしらせた。部屋中を飛び交う閃光は周囲の本を燃やし、赤い炎を燃え上がらせる。
 書庫はあっという間に炎に包まれるも、ユアンは封印の解除を止めようとはしない。手に無数の切り傷が生まれ、頬や腕にも血液の筋が流れる。
 この本を封印した者は、どうしてこのように強い力を施したのか。この本の中身はいったいなんなのか。ほんの少し膨らんだ好奇心は風船のようにどんどん大きくなっていく。
 それから数時間の格闘を経て、封印を施したのは先代魔王だということがわかってくる。父親が自身の全能力をつぎ込み、目の前にある書物を厳重に封じ込めたのだ。ユアンはこれを父親からの試練と感じ取り、ますます本に執着する。

「や、やった……!」

 そして、ついにすべての鎖が解き放たれた。両手は皮がむけ、手のひらや指の1本1本にいくつもの切り傷が刻まれている。ユアンは父親に打ち勝った達成感とともに、血まみれとなった手で裏返った本を表に返す。
 そこには――。

「う……うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁァァァァああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁァぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!!」

 絶叫。炎が燃え盛る地下室で、獣の咆哮のような絶叫が木霊《こだま》した。あまりに大きな声は地面から宮殿をつき抜け、空と大地を震わせた。当のユアンは腰を抜かし、尻もちをついて口を大きく開いている。
 視線の先、封印の先にあったモノ。その表紙には、裸の女性が描かれていた。
 描かれている女性は美人で、脚を大胆に広げて股の奥底を自らの指で開いている。もちろん、大きく膨らんだ乳房を露出させて。

「うぁ……ぁ……あ」

 声がやみ、なにも知らない純粋な王子は目を白黒させながら床に這いつくばる。まるで爆弾に近づくように、非常にゆっくりと本へ近づくと表紙をトントンと突っついた。
 絵ではあるが、初めて見る異性の秘密。小さな鼻から赤黒い液体を出しつつ、目を釘づけにされた。
 数十時間のにらみ合いのすえ、空腹も忘れて手を震わせながら本を取ると、本能で感じた。目の前の本にはどんな魔典や禁術よりも、恐ろしいモノが載っていると。
 だが、その恐怖心に反してそれにとてつもない興味を抱いてしまっていた。
 そっと。ゆっくり。裸の女性が描かれている表紙をめくっていく。
 そこから先は、まさに魔界だった。魔族であるユアンが感じるのもおかしなことだが、本の内容は魔界と呼ぶほど欲望に満ちてあり、ふしだらなものであった。
 ありとあらゆる美女が主人公である男に媚《こび》を売り、普通では絶対に見せないような場所を喜んで開いている。胸を、お尻を、股を。さらには、女性自身が美味しそうに男性の排泄器官をしゃぶっているのだ。

「あ……ぁ、あ!」

 ユアンは自然と正座になり、室内の温度が上昇するなかで本を読みふけった。これ以上ページをめくるのはマズイ。そう頭が警告しても、心と本能が次へ次へと進ませる。過激な内容をふんだんに含んだ内容は、白い心を官能の奥地へと誘った。彼の股間は痛いほどに膨れ上がり、口からは涎《よだれ》を垂らしている。
 そしていつしか、本の中の美女たちを愛する従者に置き換えて話を読み進めていた。
 理知的な顔がだらしなく歪み、自らにおねだりする姿を妄想する。
 それだけで、胸の奥からたまらない支配感が湧き、身を震わせる。その瞬間、頭にある内容が思い浮かんだ。
 自身にいらだっていた時は流し読みにしていたが、魔王の歴史の一部分。100人もの女性を集めた、後宮についての一節だ。少し前のユアンには後宮の意味がわかっていなかったが、魔界の冒険を経た今ならばよくわかる。
 要するに、大人数の女性を我がものとすれば魔王になれるのだ。その魔王は絶大な精力を持ち、子宝に恵まれたという。
 本に出てくるような美女を、すべて自分のモノに……邪念が、純粋な心へ巣食った瞬間だった。
 じつをいうと、ユアンは非常にひと目惚れをしやすい性格である。以前オニキスと町に出かけた時、ひとりの女性を見かけたことがあった。俗にいう淫魔で、異性の欲望を誘う肉体をしていた。強調された胸、1歩歩くごとに左右へ揺れるお尻。それを見た瞬間、ユアンの胸が高鳴った。
 たったひとりの女性を愛した父を尊敬していたユアンは、大好きな人の前でべつの女性に恋心を抱いてしまったことにショックを受けた。その日は大いに泣き、その夜だけはオニキスに添い寝をしてもらい柔らかな肉体に癒されるように抱きついたものだ。
 しかし、今となっては一途《いちず》な気持ちはないに等しい。本を閉じ、口元が邪悪に歪む。手に持つ書物から黒い霧があふれ、小さな体を包み込んでいるせいもあるのだろう。今の彼は、魔を統べる王と呼ぶにふさわしかった。
 雰囲気が一変したユアンに恐れをなしたのか、大きく燃え盛っていた炎が勝手に消えていく。徐々に明かりが消え、再び闇に包まれた部屋に小さな声が響いた。

「……愛する人を守るためには、時に自分の信念を曲げなきゃいけない」

 静寂のなか、小さくつぶやかれた言葉。過去に父親から教えられた言葉のひとつだ。
 無垢だった心が汚れ、欲望というエネルギーを得た今、魔王としての道を歩むことを決意する。指を鳴らし、自身の体を淡い光に包み込ませる。先ほどまで負っていた傷が完治した。

「そのとおりだよ、父さん。だから僕は……自分の信念を曲げて、変わるんだ」

 そして、ゆっくりと歩みを進める。1歩、また1歩と。
 地上にいる、最愛の人と繋がるために。

「絶対魔王になる……綺麗な女の人を、みんな僕のモノにするんだ」 

第1巻大増量お試し読み公開第3回は9月23日18時公開!

●【連載小説第3回】※エッチシーンあり『 ハーレム! ちっちゃな魔王の淫らな後宮(1)』

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著者:紫
イラスト:月猫
レーベル:オシリス文庫


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