【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第2回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』

【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第2回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』

2019/04/20 18:01

「小説家になろう」の男性向けサイト「ノクターンノベルズ」で人気のスライム凌辱ファンタジー第1巻丸ごと無料公開第2回!

女冒険者たちがスライムに延々と犯されるオシリス文庫の最人気作『淫靡な洞窟のその奥で』 新シリーズ開幕となる第6巻が発売されるのを記念して第1巻を丸ごと無料連載しちゃいます! スライム凌辱が好きな方は必見です!

淫靡な洞窟のその奥で(1) (オシリス文庫)

淫靡な洞窟のその奥で
著者:ウメ種/イラスト:アフ黒(1~5巻)/月猫(6巻)

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第二章 冒険者

 田舎の朝は早い。
 特に、酪農で生計を立てている家だとなおさらだ。
 日が昇る前に起き出し、家畜たちの世話をする。
 いままで何十年と繰り返してきたことだ。苦に思うことなどない。
 そして今日もそんな毎日と変わらない──そう思っていた。
 だが──。

「ん?」

 老人が牛たちの過ごす小屋に入ると、違和感を覚えた。
 もう長年共に過ごしてきた牛たちだ、些細な変化すら敏感に感じられる。機嫌が悪いのか、体調が悪いのか、それとも野犬に怯えているのか──。
 それは長年の経験として感じられること。小屋に入った瞬間、その些細な雰囲気の変化を強く感じた。
 野犬でも現われたか?
 最初はそう思った。この独特の雰囲気は、怯えだ。牛たちがなにかに怯えている。
 そう感じると同時に、小屋の入り口に置いていた鍬を手に取る。
 野犬ならば、大切な家畜を守らなければならないと思っての行動だ。
 野盗や山賊の類がこのあたりにいるとは聞かないが、もしかしたらそれらかもしれない。
 辺境の田舎に住む者にとって、家畜は財産であり命だ。奪われることは死を意味する。
 だから鍬を構え、腰を落として慎重に小屋を進む。

「誰かいるのか?」

 驚くほどに自身の声が固い。だが、歩みを止めることなく小屋の奥へと進む。
 老人が飼っている家畜の数は、44頭。
 目に見える範囲で数えて、牛の数は43頭。
 ──足らない。
 そう感じた瞬間、小屋の中の家畜たちが騒ぎ出した。
 なにかに怯えるように鳴き、つながれた柵から逃れようと暴れ出す。
 こんなことはいままでなかった。なにごとかと老人も驚き、怯えてしまう。
 だがそれも、しばらくすると落ち着きを取り戻す。
 いったいなにがあった? 老人は心中でつぶやき、小屋の奥へ再度足を進める。
 今度は早足でだ。怖いもの見たさではなく、確かめなければという使命感にも似た感情だった。
 小屋の奥、牡牛がつながれていたはずの柵には、なにもつながれていなかった。
 つないでいたロープも途中から切られている。

「ちくしょうっ」

 家畜を奪われたっ!
 思考が怒りに染まる。だが、すぐに思考は冷める。
 どこから牛を連れ出した?
 牛をつないでいたロープは切れているが、小屋の鍵はかかっていたし、なにより柵は閉まったままだ。
 まるで溶けて消えてしまったかのようだった。鍬を杖のようにして考える。
 だが、答えなど浮かぶはずもなかった。
 その日は、それ以外に変わったことはなかった。

 次の日は、ふたつ隣の家に住む老人の家畜が狙われた。
 その家は鶏を20羽ほどやられたらしい。
 その次は村の反対側に住む家だ。そこも牛を飼っていた。数は60。しかし、2頭ほどやられたそうだ。
 その次の日も、その次も、家畜の略奪は続いた。
 1週間も経つ頃には、村全体の家がやられてしまった。
 だが、老人たちも馬鹿ではない。罠を仕掛けたり、夜通しの番をしたりしたが、効果がなかった。
 どうやってか、家畜を奪われる。不思議だった。
 不思議といえば、先日野犬を調べに山へ入った爺さんも、村に戻ってきていない。
 野犬が消えたこと、家畜が消えること。
 なにか関係があるのだろうか?
 村の老人たちは考えた。
 こういう時、本当ならば王都のほうへ行き、騎士なり魔導師なりに金を払って調査を頼むのだが、そんな金はどこにもない。
 なら、自分たちで対処するか?
 それも無理だ、と思った。相手が何者かはわからないが、妙に知恵が回る。
 こちらが仕掛けた罠をかいくぐり、人目を避けて家畜を襲う。
 皆が頭を悩ませた。そうしてさらに1週間が経ち、家畜の数は3分の1にまで減ってしまう。
 ──そんな時、幸運にも村に1組の冒険者がやってきた。


 フレデリカ・リーンと、その女は名乗った。
 軽く波打つ腰まで伸びた黄金色の髪に、気の強さが表われた翡翠色の大きなツリ目。
 黒いインナーの上から青色のローブをまとい、その背には自身の身長ほどもありそうな大きな杖を背負っている。
 厚手のズボンを穿いているせいでその脚は見えないが、その細い腰、そして豊かな胸部はそれだけで男の目を引く。
 まるで果物でも詰め込んだのかと思いたくなるような豊かな胸は、彼女のかすかな所作にも敏感に反応し、豊かに揺れる。
 下着代わりのインナーに詰め込むには、彼女の胸は豊かすぎるのだ。そして、魔導師特有の厚手のローブも手が加えられており、インナー越しの胸の谷間を覗かせる。
 若い男ならば、嫌でも視線が向いてしまう迫力。
 冒険者をしているのが不思議なほどの美女。それが、フレデリカという女性だ。
 年の頃は20歳そこそこといったところか。
 そのうしろに控えるのは同い年くらいの気弱そうな青年と、ふたりよりも少し年上に見える気の強そうな青年だ。
 気弱そうな青年はカール、気の強そうな青年はリグと名乗った。
 ふたりとも厚手の服の上に革製の胸当てや膝当て、ひじ当てという出で立ちだ。
 その腰には鉄製の直剣が、その背には荷物が詰まっているのだろう大きな荷袋が背負われている。
 魔導師と、ふたりの剣士。典型的な冒険者のパーティといえるだろう。
 その外見と佇まいから、中級程度の実力であろうか。雰囲気もどこか余裕があり、村人たちを安心させた。
 なにより、王都の騎士や魔導師たちに頼むより安い金で仕事を受けてくれたことに、村人たちは心から感謝した。

「ふうん」

 村へ来たフレデリカ一行に、老人たちは村で起こっていることを話して仕事を依頼した。
 ここ数日、続けて家畜を奪われている。相手は知恵が回り、こちらが仕掛けた罠をことごとくすり抜けてしまう。家畜は悲鳴を上げることなく姿を消し、寝ずの番をして家畜小屋を見張っていても犯人の姿を見ることすらできない。
 それを聞いたフレデリカたちは、良い儲け話が手に入った、と内心で喝采を上げたほどだ。
 おそらく相手は山賊。しかも、老人たちのように田舎の村で育った、狩人崩れかなにかなのだろうというのが3人の意見だった。
 老人たちが使う罠はトラバサミや鳴子──目標の周囲へ縄を張り、盗人が触れたら音が鳴るという罠だった。まあ田舎の、しかも老人たちが仕掛けることのできる罠などそう大層なものではない。
 それがわかっていれば、家畜など簡単に奪える。寝ずの番をしていたと言っていたが、年寄りの老いた目で夜の闇を見渡せるのかということもある。
 そう考えると、家畜の扱いに慣れた狩人崩れの山賊が盗みを働いたと考えるのが普通であった。

「受けるのか?」

 村人に用意してもらった家屋、その1階にあるリビングでくつろぎながら、リグが口を開いた。
 その手には、こちらも村人に用意してもらった麦酒がなみなみと注がれたジョッキが握られている。その半分ほどがすでに減っているが、その程度で酔うほど酒に弱くはない。意識はしっかりとしてる。
 カールは夕食に使った食器を片づけており、フレデリカはテーブルを挟んでリグの正面に座りながら、こちらも麦酒の注がれたジョッキを手に持っている。

「もちろん。リグは、嫌?」

「まさか。こんな簡単な仕事だ。良い儲け話だと思うがな」

 そうね、と。フレデリカは同意して、ジョッキを傾ける。リグのように豪快ではなく、ひと口だけ口に含んでゆっくりと飲み込む。
 旅の最中にまとっていた青いローブはすでに脱いでおり、その上半身は黒のインナーのみ。ジョッキを傾け、麦酒を飲む。たったそれだけの仕草にも、豊かに実った胸がインナー越しに柔らかく揺れる。
 リグはその様子をしっかりと視界に収めながら、しかし気づかれないようにジョッキを傾けて視線を隠す。
 だがそんな努力も、見せつけている当人からするとわかりやすい反応である。
 自分の容姿に自信のあるフレデリカは、こうやって時折……旅の仲間をからかってはその反応を楽しむ癖があった。パーティを組んでそれほど長いわけではないが、この美貌の魔術士は旅の道連れであるふたり──リグとカールのことをそれなりに理解しているつもりだった。
 好色で、野蛮とまでは言わないが力に任せるのが得意なリグ。
 思慮深いと言えば聞こえはいいが、引っ込み思案で自分の意思をあまり表に出せないカール。
 そして自信家で、自分の美貌が武器になると充分理解しているフレデリカ。
 男の前衛がふたりと、後衛の女がひとり。各々がそれなりの実力を有しており、不和もなく連携を取れている。仕事もそれなりにこなし成功率はそこそこ高い。
 冒険者としては若い部類の3人だが、それなりに名と顔を知られているパーティだ。

「カール。おまえはどうだ?」

 洗い物をしていたカールに、リグが声を高くして聞く。

「僕は、とくにはなにも。けどなにが起こるかわからないから、油断はしないようにね?」

「まったく。相手はただの山賊だろう? おまえはいっつも心配ばかりだなあ」

「リグが考えなしすぎるだけだと思うけど……治療薬だって安くないんだし、怪我をしたら出費のほうが大きくなるかも」

「ぅ」

「それもそうよねえ」

 カールの言葉にリグが詰まり、フレデリカは同意する。
 仕事は楽だが、出費がかさんでしまっては意味がない。冒険者とは慈善事業ではない。仕事をして、対価を得る。対価に見合わない出費となれば、仕事を受ける意味がない。
 そのあたりの線引きがちゃんとできて、ようやく一人前の冒険者と呼ばれるのだ。

「それじゃあ。カール先生の心配ももっともだし、今日は早く寝ましょうか」

「おいおい、本気か?」

 そのフレデリカの言葉に、リグがおどけた様子で聞き返した。
 夕食を食べた。酒を飲んだ。男女が酒を飲んだなら、次にすることは決まっている。リグの中では、そう結論づけられていたのかもしれない。
 そんなリグの内心を悟ったフレデリカは、もう一度ジョッキを傾けると──わずかに艶を含んだ視線をリグへ向けた。

「なあに?」

「だって、なあ。まだ夜は始まったばかりだぜ? せっかく屋根のある場所で眠れるんだ、もう少し飲んでも悪かないだろ」

 リグの言い分に、クスリとフレデリカは笑う。
 もう少し飲んで、そのあとどうするというのか。それを聞くような世間知らずは、この場にはいない。

「ぼ、僕は……」

「ん?」

 妙な雰囲気になり始めたふたりのあいだへ割って入るように、カールが口を開いた。
 先ほどまで一緒に話していたというのに、ついいままで存在を忘れていたかのようにリグがカールへ視線を向ける。
 視線を向けられたカールは、一瞬なにかを言いかけて──。

「えっと……」

「ぷっ。冗談よ、冗談」

 言い淀むカールの反応を見たフレデリカが吹き出し、続いてリグが大きな声で笑う。
 そんなふたりの反応に、カールは驚いたような、ほっととしたような視線をふたりへと向けた。

「ばあか。明日は山登りだぞ? そんな体力を使う余裕があるかよ」

 かかとほがらかに笑いながら、リグが言った。

「山に登って小遣いが稼げるんだから、まぁ、いい仕事よね?」

 そう明るい声で言いながら、昔は整備されていたであろう獣道を魔導師衣装に身を包んだフレデリカが歩く。その前にはカールが、そのうしろにはリグが、彼女を守るように歩いている。
 従来の気質なのか、カールからは緊張が、フレデリカとリグからはお気楽な雰囲気が感じられる。

「ん……いい天気ね。たまにはこんな散歩も悪くないわ」

 大きく息を吸い、フレデリカが軽く身体を反らすように伸びをする。その際、豊かな胸も一緒に反らし、その所作だけでもわずかに揺れた。
 カールは気づいていないが、うしろのリグからは脇から覗ける豊かさだ。
 明らかに見せて、誘っている。長旅で溜まっているであろう男が気にしないようにしながらも、かすかに見えるその膨らみへ視線を向ける。
 そして、それは女も同じだった。男の視線を感じ、背を反らしたまま道を歩く。
 豊かな胸が波打つように震え、その刺激が心地良い。男の視線がうしろから突き刺さるように感じ、それすらもフレデリカの自尊心を刺激する。
 そんなわずかな刺激に満足しながら、フレデリカは口元を緩めた。
 目指すのはこの先にあるミスリルの廃坑。
 まずはそこを調べ、それから今後の行動を決めようと思っていた。なにせ、家畜を奪った何者かの姿を誰も見ていないのだ。相手が何者で、何人いて、得物はどんなものを持っているのか。
 それらを調べて、対策を練る。家畜を奪うしか能のない山賊であろうと、こちらを傷つける武器を持っているなら危険な存在だ。こんな片田舎で怪我でもしようものなら、それこそ目も当てられない。
 そんなことを考えながら、フレデリカはその艶やかな唇に笑みを浮かべる。
 山を登り、家畜を奪った元凶を始末するだけで数週間は遊べる金が手に入る。
 辺境を歩いて田舎の村々で依頼をこなしていたが、今回のは依頼の内容に対して稼ぎが良い。毎回このくらい稼げればいいのに、と雲ひとつない青空を見上げながら思う。
 そんなことを考えながら歩いていると、目的の坑道が見えてきた。
 ああ、確かに、と3人は揃って思う。これだけ村から離れたのに野兎はおろか、野犬も見つからない。
 よく観察していなかったが、虫の類もあまりいなかったような気がする。もちろん、いま現在も虫の声は聞こえない。風が木々の葉を揺らす音だけが耳に届く。
 そして、野生動物同士で争ったような形跡もない。
 廃坑の入り口まで静かで、穏やかな道のりだった。そんなこと、王都の周辺でしかありえない。
 魔物が減る一方で、野生動物の数は増える一方だ。魔物ほど強くもないが、厄介さは変わらない。殺しても殺してもその数は減らないのだから。
 だが、そんな野生動物が1匹もいないというのは、どうにもおかしい。
 それに、行方不明という老人も気にかかる。
 土地勘がある地元の人間なら崖から落ちたり、危険な場所へ行ったりはしていないはずと3人は考えていたが、廃坑の近辺には野営の跡も見当たらない。

「……なにかが這った跡がある」

 カールが膝を折り、地面を調べる。そこには、野草が折れ、なにかを引きずったような跡が残っていた。
 獣を引きずった跡……にしては、その痕跡は大きすぎる気がする。

「奪った家畜を引きずった跡かしら?」

 フレデリカも覗き込むように、その跡を見る。
 その際にカールの眼前で豊かな胸が揺れ赤面してしまうが、フレデリカは気づかないふりをした。

「洞窟に続いてる」

「なら、賊は洞窟の中か」

 リグが楽しそうに笑い、腰に下げた剣に手を添える。
 気の強そうな外見そのままに、血気盛んな性格なのだろう。

「厄介ね」

 それに反して、思慮深いカールはまだしも、フレデリカも考えるようにその形の良い顎に指を添える。
 理由は簡単だ。洞窟内では、強力な魔法は制限される。
 廃坑など、爆発ひとつで崩落の危険すらある。フレデリカはそれなりのレベルの魔導師であるが、だからこそ自身の魔法の威力を把握していた。
 そして、自分たちパーティの力量も。賊の数がわからない現状では、魔法を制限される洞窟に無策で責め入るということは避けたかった。
 だが、なぜ野犬などがいないのか、とも考える。
 相手は本当に賊なのか。野生動物──たとえば熊などが縄張りにしているだけだとしたら、カールとリグのふたりでも問題ない。
 洞窟から誘い出して得意の風魔法で切り刻んでやればいい。フレデリカが使える魔法は目を見張るほど強力というわけではないが、複数の属性が使えた。
 火と風と地。
 これは王宮勤めの魔導師と同等の数だ。
 しかし魔力の総量が少ないために威力や撃てる数で劣ってしまう。だから、冒険者をやっていた。

「そうか?」

「あなたはあいかわらず、頭の中も筋肉ね」

「む……」

 フレデリカが魔法を使えなければ、このパーティの火力は並程度だ。
 このパーティが3人で成り立っているのは、魔導師であるフレデリカがいるからともいえる。
 魔導王国といわれるこの国には魔導師が多い。だがそれは、王宮勤めの魔導師だ。冒険者には質の低い──使える属性がひとつのような魔導師しかいない。
 だから、パーティは4~5人が普通だ。大物を狩るとなると10人以上になることも珍しくない。
 しかしそうなると、報酬の分け前はどうしても減ってしまう。少人数でパーティを組める。それは、冒険者にとって魅力的なことだった。

「でもたぶん、賊はそんなに多くない思う」

 そう口にしたのは、気の弱そうなカール。その視線はもう引きずった跡ではなく、廃坑の入り口へ向いている。

「あら、どうして?」

「相手が大人数なら、少しは足跡が残るはずだ。でも、探してみたけど見当たらない」

 なるほど、とフレデリカは感心する。

「足跡がないのは、たぶんこの引きずったあとで消えてしまったからじゃないかな」

「じゃあ、相手はひとりかふたりってことか?」

 じれったそうにリグが聞く。
 相手が何人であれ、早く終わらせたいという気配が伝わってくる。

「でも、牛を引っぱるとしたら、人がたくさん必要になると思うんだけど……」

「相手は怪力ってことか?」

「それだけならいいけど」

「んだよ。ずいぶん勿体つけるな」

 リグが面倒臭そうに頭をかく。そんなリグから視線を外し、フレデリカは驚いたようにカールを見ていた。

「だったらあなたは、犯人はなんだと思う?」

「そこまでは……ただ、用心したほうが良いと思う」

 その言葉に油断や慢心のようなものはない。カールは臆病だ。だが、その臆病さは冒険者にとって長所でもある。
 臆病であるからこそ、冷静に物事を見ることができる。決して油断せず、どれだけ優勢でもわずかな危機を感じたなら足を止めることができるというのは、一種の才能だろう。

「あなた、勘が鋭いものね」

「はは……田舎暮らしが長かったからね。山ではこういう細かなことに気づけないと獲物を追えないから」

 そうつぶやくと、恥ずかしそうに視線を逸らす。

「なら、どうする?」

 リグが、カールに聞く。

「単純だけど、入り口の陰に隠れるのが無難かな? 相手はまだ、僕ら冒険者が来てるって気づいてないと思うし」

「それが無難かしら」

 フレデリカが疲れたようにつぶやく。べつに、廃坑まで歩いたから疲れたというわけではない。できれば日が昇っているうちに解決し、夜は宿でゆっくりと眠りたかったのだ。

「でも、毎日襲ってるらしいし、今日の夜か明日の朝には解決ね」

「おう」

 そう楽観的につぶやき、入り口の死角の岩陰にフレデリカとカール。入り口を挟んで反対側の岩陰にリグが隠れる。
 離れてはいるがお互いを視認できる場所であり、死角もない。廃坑から出ている可能性もあるので、周囲を警戒しながら、3人は夜を待った。


1巻丸ごと無料連載第3回は4月21日18時公開!

●【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第3回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』


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淫靡な洞窟のその奥で

著者:ウメ種
イラスト:アフ黒(1~5巻)/月猫(6巻)
レーベル:オシリス文庫


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