【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第3回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』

【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第3回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』

2019/04/21 18:01

「小説家になろう」の男性向けサイト「ノクターンノベルズ」で人気のスライム凌辱ファンタジー第1巻丸ごと無料公開第3回!

女冒険者たちがスライムに延々と犯されるオシリス文庫の最人気作『淫靡な洞窟のその奥で』 新シリーズ開幕となる第6巻が発売されるのを記念して第1巻を丸ごと無料連載しちゃいます! スライム凌辱が好きな方は必見です!

淫靡な洞窟のその奥で(1) (オシリス文庫)

淫靡な洞窟のその奥で
著者:ウメ種/イラスト:アフ黒(1~5巻)/月猫(6巻)

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 獣道からわずかに逸れた場所、大木の根と生い茂った草に隠れるように──それはいた。数週間前と変わらぬ体積のスライム、ブラックウーズだ。
 人の知識を得たソレは隠れるということを覚えていた。罠を避け、人の目をかいくぐり、獲物を飲み込む。
 それは、最初に飲み込んだ老人の知恵だった。
 人目につけば警戒される。麓の村には老人たちばかりだが、人間は狡猾だ。ひとりひとりはどうでもいい。おそらいまのブラックウーズならば、問題なく人間も飲み込めるだろう。
 野犬だけでなく家畜をも喰ったブラックウーズは、体積こそそのままだが、質量は産まれて数ヵ月にしては成長しすぎていた。
 もしブラックウーズの生態に詳しい人がいたら、驚くべき成長速度だ。普通なら数年かかる成長を、数ヵ月で行なっているのだから。
 呼吸をしないスライムの気配を読むのは、熟練の冒険者でも難しい。本来ならば、こういうときは索敵の魔法を常にかけておくのだが、あの魔導師の女はそれを使っていない。
 素人か、それとも楽観しているのか。そもそも魔物がいるなどと思ってもいないのだろう。
 知恵がついたスライムはそれをなんとも思わずに、ただ冒険者の3人を観察する。
 男がふたりに、女がひとり。
 先日、人間の雄を消化してしまったスライムは、意識が雄側へ傾いていた。
 つまり、男は餌、女は苗床だ。
 それは、普通のスライムには存在しないはずの意志ともいえるものだった。
 どうにかして、あの女を手に入れたい。
 だが、知識として存在する冒険者という者は、魔物狩りの集団だ。
 老人相手なら問題ないだろうが、現役の冒険者相手だと一対一でも勝てるかどうか。
 危険は冒さない。それもまた、普通のスライムにはない思考だった。
 魔物は本能的に魔王、魔族以外の種族を襲う傾向がある。そういうふうに魔王が創ったのだ。
 だが、このスライムはその本能に逆らい、危険は冒さず、確実に獲物を得ようとしている。
 3人の冒険者が機を待つように、スライムもまた冒険者たちの集中が切れる時を待つ。
 そうしているうちに日は傾き、薄闇が世界を覆う。夜が来る……ブラックウーズの時間だ。
 いくら冒険者が夜目に慣れているとはいえ、夜の闇の中で黒を見つけられるほどではない。
 森の民であるエルフや、五感の優れる獣人ならともかく、人間では不可能だ。
 とくに3人は、隠れているために明かりもつけていない。互いのかすかな吐息と気配で、仲間の無事を確認している状態だ。
 その闇の中を、スライムがなるだけ音を出さないように移動する。
 牛ほどもある自身の巨体を器用に動かし、草葉を揺らさないように、ゆっくりと時間をかけてだ。時間はたくさんある。夜は始まったばかりなのだから。

 どれだけの時間が経っただろうか?
 薄闇だった山は完全な闇となり、スライムに味方する。狙うのは単独で隠れている大柄なほうの男だ。
 ふたりで隠れているほうは危険が大きすぎた。音を立てないように、大柄な男の頭上へ岩肌を伝って移動する。
 スライムならではの死角への移動。
 若かりし頃の老人が、スライムが天井へ張りついていることに大層驚いていた記憶があった。だからそれを利用した。人間の死角、頭上から自身の粘液を垂らす。
 男の首筋に垂れたソレは、今日までたくさんの獲物を捕らえてきた麻痺毒だ。
 男なら遠慮はいらないので、いまの自身ができる最高濃度の麻痺毒を首筋へ数滴垂らす。
 その瞬間、驚いたように人間の男が見上げてくる。
 これでも効果が薄いのか? スライムがそう考えたかどうかはわからないが、ほかのふたりに知られる前に飲み込もうとし……男が崩れ落ちる。
 悲鳴も上げられない様子から、麻痺毒は効果があったようだ。
 だが、強すぎる。これでは駄目だ。痙攣を繰り返す男をゆっくりと取り込みながら、女に使う毒の濃度を考える。
 女は男よりも脆い。それも、老人の知識の中に入っていた。
 こんなに強力な麻痺毒では、先日の老人のように女を麻痺だけで殺してしまうかもしれない。
 幸い、男はもう1匹いる。今度は先ほどの半分の濃度で試してみよう。
 そう考えながら、岩肌から音も立てずに落ちたスライムは屈強な男……リグを、その身体の中に取り込んだ。ブラックウーズの粘着質な身体の中に、気泡が浮かぶ。痙攣していた男の身体が、次第に動かなくなる。
 しかし、取り込んだ男のことなど一顧だにせずスライムは移動する。
 次はわざと草葉を揺らしながら移動した。この暗闇だ。自身の姿が人間に見えないことを理解しているからこそできる罠といえるだろう。
 案の定、残った男と女が警戒するようにブラックウーズのほうへ視線を向ける。しかし、遠い。それに、明かりのない冒険者たちには、ブラックウーズの姿が見えていない。
 向かってくるのは女だろうか、男だろうか?
 ふたり同時に向かってくるということはないだろう。この物音が罠なら、ふたり同時に餌食になってしまうのだから。
 ブラックウーズは罠を張る。それは先日喰った老人の知恵の中の罠。
 老人が苦労し、辟易した、魔物や盗賊などと戦った時の注意を逆手に取った罠だ。
 ふたりはまだ、自分たちは3人だと思っている。だが、それを確かめる術はない。
 隠れていると思っている彼女たちは、光を使って互いの無事を確かめることができないからだ。
 身の内に飲み込んだ男がかすかに動く。いや、末期の痙攣だ。
 麻痺毒で身体の自由を奪われ、スライムの体内に取り込まれた。男は数分ももたずに窒息死していた。あとは、時間をかけて消化するだけである。
 ブラックウーズが自身の体内に注意を向けていると、残りふたりの冒険者に動きがあった。動いたのは、案の定というべきか、男のほうだった。
 剣を抜き、警戒しながらこちらへ向かってくる。だがその視点は定まっていない。スライムを捉えてはいない。
 男が剣先で草むらをかき分けるように進む。
 その瞬間、スライムは自身の身体を触手のように伸ばすと男の顔面へ狙い違わず叩きつけた。突然の出来事に混乱し、もんどりうって尻餅をつく。
 そのまま触手を切り離し、顔全体を覆うようにする。試したことはなかったが、自身の肉体を切り離してもある程度は自由に動かせるようだとブラックウーズはひとつ学習した。

「ぶふっ!!」

 麻痺毒の濃度は先ほどの半分。
 男は顔面に貼りついた触手を引き剥がそうとするが、粘液をつかめず混乱している。
 そのまま倒れ込みもがく様から、麻痺毒はまだ効果が表われていないようだ。
 そう確認していた直後、スライムの身体が斬り裂かれた。痛覚といった感覚はないが、これにはさすがに驚いた。
 風の魔法だ。
 知識としては知っていたが、驚きが勝った。だが、即座に切り裂かれた身体を寄せて再生する。
 微塵に切り刻まれたらわからないが、どうやら半分に割られた程度では死なないらしい。
 だが、体内に取り込まれていた男はどうしようもなかった。元から死んではいたが、風魔法でふたつに裂かれてしまった。
 そうこうしているうちに、もがいていた男の反応が鈍くなっていく。
 麻痺毒が効いたのか、それとも酸欠か。しばらくして男の顔を覆っていた粘液を剥がし、自身の本体に同化する。
 胸が上下していることから、呼吸をしていることを確認。しかし、男は動かない。酸欠ではなく麻痺毒が効いたのだ。
 だが、意識はしっかりしているのだろう、視線はスライムを見上げてくる。

「ま──モのッ」

 しゃべることもできるようだ。濃度は、この程度で充分か。
 そう理解しながら男を飲み込もうとし──再度、風の魔法で斬り裂かれる。

「カール!!」

 魔導師の女だ。
 長大な杖を構え、ブラックウーズを睨んでくる。気の強そうな瞳は敵意に染まり、その表情に浮かぶのは憤怒のソレ。
 長い髪が、身の内よりあふれ出た魔力の風に揺れている。

「マモノだ、フレデリカ!!」

 カールと呼ばれた男が叫ぶ。どうやらこの濃度では身体の自由を奪うのが限界らしい。
 それと同時に、男の下半身へ触手を伸ばす。口は動いても身体は動かない。なら、あとは引き寄せて飲み込むだけである。
 次は、女だ。
 魔導師の女。気の強そうな視線が、スライムを射抜く。

 この場所が木々の生い茂っている山ではなかったら、フレデリカの勝利は揺るがなかっただろう。フレデリカの持つ属性には、火の魔法がある。風で斬り裂いても、大地を隆起させ岩で潰しても、スライムを殺せない。だが、火で焼けば簡単に消滅させることができる。
 最悪……このあたり一帯を焼いてでも、このスライムを焼き殺す必要があるだろう。そうフレデリカは考える。
 魔物とは人類の敵だ。倒さなければならない、生かしておいてはならない相手。その殺意を隠すことなく、手に持つ魔導杖に魔力を込めた。

「リグ!!」

 いまだ岩場に隠れているはずの仲間を大声で呼ぶ。だが、返事はない。
 なぜと考えるが、確かめる方法がないのも事実だ。闇色のスライムと相対しながら、動けずにいるカールへ視線を向ける。
 そのカールは、少しずつ、本当にゆっくりと、スライムのほうへ引きずられている。

「カール、なにしてるの!!」

「から、だ──がっ」

 声は出ている。しかし、身体は痙攣して本人の意思を反映していない。その様子から、なにかしらの毒を盛られたのだと判断する。致死性のものか、それとも身体の自由を奪うものか。
 そう考えながら、魔法を発動。無詠唱で、もっとも単純な風の刃を生み出してスライムの触手を切断する。
 しかし、今度は切られた瞬間に切断面が結合し、時間稼ぎもできなかった。
 フレデリカは舌打ちをする。相性が悪い。自分の得意な風の魔法とスライムという軟体の魔物は、どうしようもなく相性が悪い。
 土の魔法は風以上に意味がないだろうし、火の魔法を使うにはカールが邪魔だ。

「り──」

 そこで、ソレに気づいた。気づかないうちに、スライムのほうからもフレデリカのほうへ接近していたのだろう。夜の闇の中、月明かりに照らされた軟体の中に、顔があった。身体があった。その身体は、上半身と下半身がふたつに分かれてしまっていた。

「リ、グ……っ」

 リグがブラックウーズに取り込まれたこと。その事実にいまさらながら気づいて、フレデリカは動揺してしまう。なにより、彼の身体はふたつに切断されている。それは、自分が最初に放った風の刃……魔法で切り裂かれたのでは。
 そう理解して、カールのことを忘れ数歩あとずさってしまう。
 しかし、と。数歩あとずさり、しかしそこで踏み止まった。
 魔物とは、世界の敵だ。倒さなければならない存在。世界と相容れぬ、魔王の先兵。魔王なきいま、滅ぶはずの存在がここにいる。そして冒険者は、その魔物を倒す存在。
 その矜持が、フレデリカを支えた。
 しかし、リグだけでなくカールまでもがスライム──ブラックウーズの触手へと捕らわれ、いまこの瞬間、飲み込まれようとしていた。もう一度風の魔法、そして土の魔法も試してみるがやはり効果はない。
 火の魔法を試すか──しかし、射線上にはカールの姿。横に動けばいいだけなのだが、フレデリカは動揺していてそのことに気づけなかった。
 自分を奮い立たせても、仲間を殺してしまったということは変わらない。そして、ブラックウーズにはこちらが認識できていない毒がある。そのことが、フレデリカの思考を停止させていた。
 どれほど睨み合っただろうか。フレデリカが責めあぐねているあいだにカールの全身には麻痺毒が回り、しゃべることも難しくなっていた。抵抗などできるはずもなく、その足がついに軟体の内へと浸かってしまった。

「このっ」

 フレデリカは、意を決してそんなカールへ駆け寄る。取り込まれようとしているカールだけでも助けようとしているのだろう。魔法では無理なので、引っぱり出そうとしているのは悪手……そうわかっていても、仲間を見捨てることができなかった。
 そうやって駆け寄ってきたフレデリカは、その直後になにかへつまずいたように転ぶ。闇夜に紛れて分離していたスライムの一部が、女のブーツを捕らえたのだ。
 顔から転ばないように受け身を取ったのはさすがだが、意識がブラックウーズから逸れてしまう。
 転がった先には、固まって人の頭ほどにまで再生したスライムの塊があった。
 フレデリカは転がった勢いのまま、左手をその塊へ取り込まれてしまう。右手に持った杖に魔力を込めるが、それより早く、麻痺毒をまとった触手が右手を捕らえる。
 濃度はカールへ使ったモノと同量。すぐに効果は表われないが、オンナの感覚を残したまま麻痺させることができるはずだ。
 よつんばいの格好になりながらも、フレデリカの表情にはいささかの恐怖も感じられない。この勝気な女性は、恐怖よりも怒りを覚えてブラックウーズを睨む。

「炎剣よ!!」

 その一言が呪文だと、ブラックウーズは知らなかった。その直後に杖が赤熱化し、女の右手を捕らえていた触手を焼き切る。
 だが、それだけだ。軟体の一部を焼き切っても、すぐさま復活する。
 本来なら、ここら一帯ごとスライムを焼き払うのが最善の手だったのだろうが、フレデリカにはそれほどの魔法を何度も打てるだけの魔力がなかった。
 風の魔法を3回と、火の魔法。彼女の魔力はそこで半分ほど消費した。このスライムを一撃で仕留めれるほどの熱量を出すには、残りのすべてを使いきる必要がある。
 しかし、それほどの魔法を使えばカールだけでなく、近くにいる自分も無事では済まない。フレデリカは、怒りに染まった頭で舌打ちした。

(集中、集中──)

 一度息を吐く。
 ブラックウーズが近づいてくれたことで確認できたが、カールはまだ無事だった。リグには悪いが、まずは生き残るほうが先決だ。この魔物を仕留めるには、万全を期す必要がある。
 スライムはその肉片一片でもあれば復活する。その細胞すべてを焼き尽くすほどの熱量を生み出すには、残ったほとんどの魔力と、繊細な集中が必要だ。
 魔法というものは、本当は呪文を必要としない。念じるだけで発動することができるのだ。呪文はただ、集中するためのもの。フレデリカの経験から、このスライムを焼き尽くすほどの魔法は十数秒も集中すれば充分だった。
 意識を杖に集中し、不自然に荒くなった息を整えようとするが難しい。戦いの興奮からか、動機も激しくなっている。
 近づいてくるブラックウーズをこの時だけは意識の外へ放って、深呼吸をして集中。

「え……?」

 ふと感じた違和感に、驚きの声が漏れた。
 左手の感覚が鈍いのだ。あわてて視線を左手に向けるが、確かに左手はある。
 だというのに、指は動かない。それどころか、動かそうとすると鋭い痛みを感じるのだ。
 フレデリカは、その痛みに覚えがあった。足や手が痺れ、それを無理やりに動かそうとした時に感じる痛みだ。左手はちゃんとあるし、指も存在している。しかし、動かそうとすると痺れて動かない。

「な、なに?」

 そうやって混乱しているあいだにも、スライムは集まってくる。
 ガサガサと夜の闇の中、草葉を揺らす音だけが響く。その音に恐怖を感じ、目を閉じて集中する。呼吸がさらに荒くなる。
 次いで感じたのは右手の違和感だが、いまはそれどころではない。ここで、フレデリカはどうしてカールが抵抗らしい抵抗をできなかったのか気がついた。この毒……麻痺毒のせいだろう。そして、早く決着をつけなければカールのように自分も抵抗できなくなる。
 一刻も早くこのスライムを駆逐する。その意志をもって自身に残った魔力すべてを練り上げ──。

「──ん」

 ふと、この場に似つかわしくない声が漏れた。

「ん、ひ──!!」

 ぞわり、と女性特有の、熱しやすく冷めにくい熱が腕に奔った。あわてて目を開けると、スライムがフレデリカの腕を伝って服の中へ侵入してきていた。手首から服に包まれた二の腕、さらにその奥にある肩とわき……服によって視認することはできないが、服の下に着込んでいるインナー越しとは思えない粘着質な感触が気持ち悪い。

「な──!!」

 なぜ? どうして?
 一瞬にして集中が乱れ、思考が混乱する。
 スライムが人間を取り込むならわかるが、なぜ服の中に侵入するのかフレデリカには理解できなかった。
 理解できないまま、腕を振り乱して暴れようとして、腕が動かないことに気づく。
(毒──もうこんなに!!)
 腕は動かないが、感覚はいつもよりも鋭敏化しているといってもいいだろう。いままで腕を撫でられただけでこれほど感じたことなど一度もない。
 フレデリカは、当然ながら生娘ではなかった。
 だからこそ、困惑した。
 腕を撫でられただけで、自分の身体が出来上がったのだから。

「ふ、ん──」

 腕を伝って上ってきた触手が、どんどんローブの隙間から服の中へ入り込んでくる。その独特の粘り気を持つ粘液が服を汚し、嫌でも触手の存在を主張してくる。
 よつんばいのまま豊かな髪を垂らし、なにかをこらえるように下唇を噛む。長く伸びた髪は緊張で汗ばんだ頬に貼りつき、そのわずかな隙間から形の整った耳を出す。
 耳は、羞恥か、怒りか、それ以外の感情からか。赤く染まり、月明かりに照らされた夜の闇の中でもその存在を主張している。
 ひじをついてはいなかったが、それも時間の問題だ。

「ひ……」

 ゆっくりと進んでいた触手が、ついに服の下に隠されていた胸へたどり着く。あまりの豊かさに、インナーに支えられてなお重力に引かれて垂れ実った胸を、根元から絞るように包み込む。
 インナー越しだからか、粘液に湿った服と擦れてグチュ、という音が確かにフレデリカの耳に届いた。
 そのまま、力を入れないまま、撫でるように胸を刺激していく。それは単純に揉むというよりも、胸の芯から刺激していく。

「ふ、ぁ……」

 しかし、口から漏れたのは確かな吐息だった。

「……は、ん」

 グチュグチュと、みだらな音が自身から発せられる。
 その音は胸元からだ。フレデリカ自慢の豊乳から発せられる音に、耳を赤らめてしまう。
 その羞恥に、思考を閉ざしてしまいそうになる。

「やめなさい! このっ!!」

 だが、そんなことは彼女のプライドが許さなかった。力を振り絞って暴れ、両手を捕らえるスライムから逃れようとする。
 ひじから先の感覚がひどく鈍い。肩を支点にしながら暴れて逃れようとするが、スライムの粘着力はそれ以上だった。
 もし彼女が万全の状態であったとしたら、わからなかった。しかし、いまの彼女ではスライムから逃れることなどできなかった。体力は残っていても身体は痺れ、粘液に捕らわれた身体は逃げることが叶わない。
 結果、ひじが折れ、頬を地面につける羽目になってしまう。豊かに実った巨乳が地面に押し潰され、その形を歪める。
 それはあたかも、スライムに懇願しているような体勢でもあった。
 その屈辱に思考が沸騰する。そのような状態でも、肩を揺すって逃げようとする。

「離せ! このっ、薄汚いバケモノがっ!!」

 地に頬をつけたまま、フレデリカは心まで折れまいと叫ぶことで抵抗する。なぜスライムが自分をすぐに殺さないのかは理解できなかったが、それ故に彼女は最後まで抵抗することを決めた。
 魔物に屈するなど、あってはならないことだ。そんなの、絶対にあってはならないのだ──。

「……ひ」

 だが、フレデリカのそんな意志など無視し、スライムの触手が服の下で蠢く。地に押し潰され歪み、だがその柔らかさはいささかも変わらない巨乳が撫で回される。乳首が痺れ、男に抱かれる時、ひとりで慰める時とは違う──あまりに違いすぎる刺激にまた声が漏れそうになる。
 声を出すことだけは拒否しようと唇を強く噛むが、乱れた息が口の端から漏れる。勢い余って地面の上にあった落ち葉が舞った。

「っ、ぅっ──」

 肩を暴れさせると、それに連動して身体が揺れる。身体が揺れると、地面に押しつけられている胸もまた新たな刺激を生まれさせる。
 声を出すことは我慢しているが、呼吸は余計に乱れ、汗が噴き出す。そこまでフレデリカの身体が反応すると、ブラックウーズは胸を覆っていた粘液の粘度を増した。
 先ほどまでは胸を覆っていただけの粘液は植物の蔦を連想させる触手となり、地面に押しつけられて形を変える豊乳へ、器用に巻きついた。
 それはまさに、捏ねるという表現が最適な光景だった。乳房の付け根に巻きついて絞ったかと思えば、地へ伸ばすように乳首を引っぱり、上下左右からまるで指圧するかのように揉んでくる。
 フレデリカは知らなかったが、それは家畜──牛の乳を搾る手の動きだった。取り込んだ老人の知識からブラックウーズが学んだことだが、それがなんなのか知らなくても自分の胸が物のように扱われるのは我慢ならない。
 羞恥ではなく怒りに顔を余計に赤くするが、抵抗する手段は時間が経つにつれて失われていく。
 スライムの粘液に塗れ、服とインナーが淫猥な音を出した。
 まるで玩具のように扱われる自分の胸から目を逸らすように、目を閉じる。怒りにか、羞恥にか、それとも……本人は認めないが、快楽にか。うるんでいた瞳から、涙がこぼれた。
 だが、瞳を閉じると淫猥な音が耳に届き、その音もまた、彼女の性感を刺激してくる。

「は、ひ……」

 不意に開いた口から漏れたのは、先ほどよりも熱い声。
 まるで自分のものではないかのような声に、閉じたまぶたに力を込める。

(違う、違う違う違う違う違う!!!!)

 何度も、何度も、何度も……心の中でそう叫ぶ。
 だが、胸の熱は治まるどころか増していく。グチュグチュと捏ねられるたびに、いままで味わったことのない感覚に襲われてしまう。
 普段ならば、ここまで嫌悪したなら肉体は反応しなかっただろう。
 肉悦も大切だが、気持ちや雰囲気も充分に大切なのだ。
 だが──フレデリカは、飢えていた。禁欲的とはいわないが、恋人でもない男と1週間の旅だ。性欲を発散する場所などなかった。これが男と女のふたり旅なら、あまり気にしなかっただろう。しかし、男がふたりに女はひとり。
 男ふたりに身体を許すほど性に奔放でもなければ、なにも知らない生娘というわけでもない。肉感的に成長した身体は、ふさわしいほどに性欲を溜め込んでいた。
 だから、限界だったのだ。
 気持ちは魔物を嫌悪しているが、肉体は性に飢えている。そんなどうしようもない状態。
 感じたくないのに感じてしまう。
 殺したいほど憎いのに、抵抗できずに犯される現状が、強気な女の心を侵す。
 1週間以上、自慰も行なっていない22歳という女の盛りともいえる肉体は、あまりにも脆かった。
 目を閉じ、快楽をこらえる一方で、ぐちゃぐちゃに揉み犯される胸の先端を、無意識に地面に擦りつけてしまうほどに。

「ふ、ん……ん」

 固く閉じていたはずの唇はいつの間にかわずかに開かれており、口から漏れる熱い吐息を止められない。
 唇を噛んでいた歯並びの良い綺麗な歯は、唇を噛むことをあきらめてしまっている。その隙間からわずかに覗く舌は、小さく、なにかを求めるように外へ伸ばされてしまっていた。
 力強く閉じられていたまぶたも、いまは力なく、なにかを耐えるように眉をひそめる程度だ。
 そしてなにより──フレデリカは目を閉じて気づいていないだろうが、その右手は杖を手放してしまっていた。
 突き出された臀部も、わずかに前後し腰を打つ。服はなにひとつ脱がされていないというのに、女は確実に出来上がっていた。

「やめ、ろぉ……」

 うわ言のように、つぶやく。
 そんな言葉に、スライムが応じるはずもない。
 胸を犯していた触手とは別に、スライムの触手が服へ入り込んでくる。それがわかっていても、フレデリカには抵抗する術がなかった。
 両の腕は動かず、よつんばいの体勢のため、脚にも力が入らない。いや、美脚を隠していたズボンもいつの間にか濡れている。
 ……逃げるための脚も痺れてしまったのだ。そのことが、フレデリカの意識を追い詰めていく。
 新たに服へ潜り込んだ触手は、さらに胸に向かい──その先、インナー越しに自己主張する突起へと巻きつく。器用にも、ひも程度の細さになって、だ。

「ひ、ぃ……」

 フレデリカ自身は認めないだろうが、地面へ擦りつけていた乳首は、ひどく敏感になっていた。もともと、自慰の際にはよく触っていた性感帯のひとつだ。その感度も身体の中では良いほうである。

(ぁ、ひ……か、感じる……ぅ)

 その瞬間、腰が大きく震えたが、フレデリカはそのことに気づいていない。だが、腰が前後すると、連動して強く胸が地面へ押しつけられる。
 触手に扱かれ、地面へ押しつける。ふた通りの刺激に、フレデリカの息はさらに荒くなる。夜の闇の中、いまはフレデリカの荒い息だけがこだましていた。


1巻丸ごと無料連載第4回は4月22日18時公開!

●【新シリーズ開幕記念】【1巻丸ごと無料連載第4回】『淫靡な洞窟のその奥で(1)』


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淫靡な洞窟のその奥で(6) After Disorder 1 (オシリス文庫)

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淫靡な洞窟のその奥で

著者:ウメ種
イラスト:アフ黒(1~5巻)/月猫(6巻)
レーベル:オシリス文庫


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