【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第14回「紳士なオーク」──『紳士なオークを目指します』

【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第14回「紳士なオーク」──『紳士なオークを目指します』

2020/11/20 17:00
【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第14回「紳士なオーク」──『紳士なオークを目指します』


人気漫画家の連載コラム! 「全身貞操帯」「触手エステ」──アダルトライトノベル「オシリス文庫」の個性的なプレイやテーマをカレー沢薫先生が切れ味するどく語ってくれます! あなたの知らなかった性癖が花開いちゃうかも!?



(注:コラム内でオシリス文庫の刺激的な挿絵が登場することがあります。周囲にはお気をつけください)

「くっ殺せ……!」

ここで問題です、この女騎士は誰に向かってこのセリフを言っているのでしょうか?

これはエロファンタジー試験の初級問題かつ、己(おのれ)の性癖を相手にアピールする絶好のプレゼン機会である、ここで下手を打つと挽回が難しい。

エロファンタジー知識がない方に一応説明しておくと、冒頭のセリフは劣勢となった女騎士が、生きて恥をさらすぐらいなら誇りを持ったまま死にたいと、敵に潔く殺すようにうながすセリフである。

しかしエロファンタジーの世界でこの女騎士の願いが叶えられることは2億パーセントない。
もし、潔く殺そうとする奴がいたら、先にそいつが抹殺されると思う。

「女騎士を待っていたのは潔い死ではなく、死ぬより辛い辱め(主に性的な)の数々であったとさ、めでたしめでたし」というのが昔から親しまれている「童話おんなきし」の大まかなストーリーである。

しかし、さるかに合戦で牛糞が出てきたり出てこなかったりするように、同じ童話や昔話でも微妙にディテールが異なる場合がある。
それと同じように「おんなきし」の物語も流れは同じでも、細かいバリエーションは多いのである。

そこで冒頭の問題に戻るが、女騎士の懇願を無視して辱めの限りを尽くす相手は誰か、という話である。

スタンダードに「薄汚い盗賊団」という人もいれば、精神的ダメージも与えるべく「かつて部下だった兵士たち」というテクい人もいるだろう。
もちろん、人間相手など手ぬるい、せっかくファンタジーなのだからモンスターを使うべき、つまり「触手」一択という人も多いはずだ。

だが間違っても「敵国のイケメン騎士」などではダメなのだ。
ティーンズラブ業界ならギリギリありかもしれないが、男性向けエロ業界の面接でそんな答えを出したら、即刻履歴書と交通費を返されて退場である。

女騎士といえば「高潔」なことが売りであり、その高潔さが汚されるところが古典的男性向け女騎士モノのトロなのである。
つまり女騎士は絡む竿役が汚ければ汚いほどSNS映えするのだ。

よって女騎士に「くっ殺せ……!」と言われるのは、小汚くても人間であればいい方で、醜いモンスターであることも珍しくない。

オシリス文庫も男性向けであることは否めないが、女性にもわりとおススメできるのは、ラノベらしく、棒側も結構イケメンだったり、パッと見で冴えなくても、実は有能だったりと、女から見ても魅力的である作品が多いからだ。
あとヒロインの方も男の性欲につき合わされているというわけではなく常に「この女ノリノリである」とナレーションがつきそうなほどエロに対して前のめりなところがいい。

しかし「特にとりえがない」という設定のくせにやたら女にモテるというとりえを持った主人公や、無気力そうなイケメンが「やれやれ」とか言いながら美少女にフェラされるエロ創作を読んでもなにも癒されないという人もいるだろう。

だからといって、古典的女騎士モノのように婦女子が汚い生物にひたすら凌辱されるのはちょっと、という人も多いはずだ。

そんな偏食持ちの息子さんに悩まされている人におすすめなのが、今回紹介する作品である。

『紳士なオークを目指します』


タイトルどおりこの物語の主人公は「オーク」である。
「オーク」というのはファンタジー作品に出てくる架空の生物であり、作品によって設定は異なるが、だいたい豚のような醜い容姿で、かつ低能な生き物として書かれている場合が多い。
さらにエロ創作では「性欲旺盛」という設定がつけ加えられ、触手と並んで女騎士を辱めるために登場することが多い。

だが本作に出てくるオークはそんなモブオ(モブオーク)さんではない。
『紳士なオークを目指します』に出てくるオーク種は「食欲と性欲しかない」というまさにエロファンタジーのために生まれたようなオークなのだが、主人公の「ルト」はそんなオークとは違う。

ならばイケメンオークなのか、というと表紙を見ればわかるように「緑の豚」としか言いようがない容姿である。
しかし、ルトは「知能」や「理性」を持って生まれた変種であり、さらに仲間のオークがさらってきた人間が持っていた本を読んだことにより「紳士」に憧れを持つようになったオークなのである。
ルトは「紳士」になるべく、まずほかのオークたちに捕らえられ凌辱された人間の女たちを逃がしてやり、さらに女を酷い目に遭わせたオークに制裁を加える。

このオーク、今まで見たどのラノベ主人公よりイケメンである(当社比)。

そしてルトは紳士になるための旅の途中、ケガして倒れている「エルフ」に出会う。
これが本作のメインヒロイン「ミュケ」である。


エルフといえばオークとは対照的に美しく気高い種族であり、それゆえにオークと絡ませられがちという、エロ創作においては女騎士と同じぐらい不遇な生物だ。
ミュケはエルフの象徴である長い耳を怪我で失ったことにより仲間に痛めつけられたうえで追放されてしまい、行き倒れたところをルトに発見され介抱される。
最初はエルフの天敵であるオークのルトに敵意をむき出しにするミュケだが、ルトがほかのオークとは違うことに気づき、だんだん心を開いていく。

だがそんな時、ミュケが生きていることに気づいたエルフたちが、ミュケを辱めたうえでとどめを刺すべく現われる。
そんなエルフたちにルトは「お前らはオーク以下だ、ミュケの誇りは僕が守る」と立ちはだかり、見事エルフを打ち倒す。

このオーク、今まで見たどのラノベ主人公よりイケメンである(2回目)。
これには、わりと惚れっぽい場合が多いエロラノベのヒロインでなくても目がハートマークであり、当然ミュケも例外ではない。

ルトも知能が高いとはいえオークなので性欲は旺盛である。
しかし「紳士」を目指しているため「相手の合意なしにことには及ばない」という信念を持っており、ミュケを介抱している時も襲おうとはせず、劣情をもよおしてもひとりで処理するという紳士な態度を崩さない。

しかしミュケはそんな紳士の背後に忍び寄り、イチモツを鷲づかみである。
「エルフがオークを襲う」という斬新な構図だ。

だが、ミュケは痴エルフというわけではなく、自分の誇りを守ってくれたルトに心惹かれたがゆえの行動である。
紳士であろうとするオークと、オークを見た目で判断しないエルフの純愛だ、悔しいがとてもいい話である。

しかし、あくまで本作はエロライトノベルであり、伊達にオークとエルフというエロファンタジー界の二大巨頭が出ているわけではない。

ルトが読んだ本は、昼は礼儀正しい「紳士」であれと書かれていると同時に夜は婦女子を喜ばせる「変態紳士」であれとも書かれている構成が謎すぎる本だったのである。

ルトは本に書いてあったことに従い、ミュケに強烈な「アナルセックス」をぶちかます。ちなみになぜか前への挿入はなしだ。
先ほどの純愛パートとの高低差がありすぎて鼓膜が破裂してしまったが、やはりオークとエルフはこうでないと、という気もする。

その後も、ミュケが甘えてきてはアナルセックスをして気絶して、ミュケが甘えてきてはアナルをいじって気絶するという天丼が続くのだが、1巻の段階では結局前での本番はなしである。
オシリス文庫でも1巻では本番までいかない、という「焦らし」は珍しくないのだが、アナルセックスで焦らしてくるのは今回が初めてかもしれない。

このように、エロシーンはオークものらしく濃厚かつマニアックなのだが、いい話なのは本当であり、今まで見たどのラノベ主人公よりイケメン(個人の感想)というのも嘘ではない。
続刊ではミュケのほかにもインプやミノタウロスといったさまざまな種族のヒロインが出てくるハーレムものにもなっていく。



イケメンチート主人公のハーレムものなど楽しめないという人もぜひこのイケオークハーレムは試してみてもらいたい。


カレー沢薫

漫画家兼コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。近年は切れ味するどいコラムでも人気。『ひとりでしにたい』『負ける技術』『生き恥ダイアリー』など著書多数。一日68時間(諸説あり)のツイッターチェックを欠かさない。


紳士なオークを目指します(1)
著者:緑/イラスト:キンタ

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