【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第27回「昼酒冒険者」──『ダンジョンが思ったよりも深くてどうしようもないので諦めて女の子を口説いていくことにした』

【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第27回「昼酒冒険者」──『ダンジョンが思ったよりも深くてどうしようもないので諦めて女の子を口説いていくことにした』

2021/06/04 17:00
【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第27回「昼酒冒険者」──『ダンジョンが思ったよりも深くてどうしようもないので諦めて女の子を口説いていくことにした』


人気漫画家の連載コラム! 「全身貞操帯」「触手エステ」──アダルトライトノベル「オシリス文庫」の個性的なプレイやテーマをカレー沢薫先生が切れ味するどく語ってくれます! あなたの知らなかった性癖が花開いちゃうかも!?



(注:コラム内でオシリス文庫の刺激的な挿絵が登場することがあります。周囲にはお気をつけください)

よく考えてみたら私は一般で言う「ライトノベル」を読んだことがない。

しかしアダルトライトノベルに関しては、この連載を始めてからかなりの本数読んできた。
「原作は知らないが、エロ同人誌はクソほど読んできた」と言っているようなものだが、同人誌にも面白いものはたくさんあるし、時には原作よりも命をかけて入手しなければいけない薄いDB(ドスケベブック)もあるのだ。

オシリス文庫作品もエロ本には違いないのだが、ファンタジー小説や青春小説としてしっかりしたものも多く、読んだことはないが「今の一般ラノベもこういうのがはやっているのだな」ということをうかがい知ることができる。

まずわかったのは、いまだにみんな「異世界転生」が大好きということだ。
『俺の実姉の父がエロすぎるんだが!?』みたいな、一見異世界とは関係なさそうなタイトル、そもそもそれは普通にお前の親父だろ、というような作品でも開いてみたら、冒頭3行で異世界転生してきた結果親父がエロい話だということが明かされるなどする。

もはや「犬も歩けば棒に当たる」が「車に轢かれりゃ異世界転生」に変わる日は近い。

しかし、異世界転生が嫌いかと言うと、むしろ好きである。

いきなり異世界に転生して、エルフとかと一緒に剣と魔法で冒険、と言われたら突拍子もない話に聞こえるが、昭和のRPGキッズからすればむしろ「おなじみの世界」なのだ。

日本には、ドラ焼きを食え、みたいなタイトルの人気RPGがある。
初期のドラ(焼きを)食えの始まり方は、いきなり主人公が王様に呼び出しを食らっているシーンから始まり「お前は勇者だから世界を救え」という命令とともに、銅でできた剣と50円を渡されてモンスターがはびこる世界へと放りだされる、というものであった。

聞きたいことは100億個くらいあるはずなのだが、主人公はそれに異論をはさめないシステムになっており本当にそれだけで世界を救う旅に出かけるのだ。

それに比べれば、トラックに轢かれたあと、謎の空間で出会う女神とかはまだ状況を説明してくれている方であり、主人公にも「ちょ、待てよ」程度の異論をはさむ人権が認められているため、初期RPGを通った人間からすれば異世界転生の冒頭というのは突拍子もない話ではなく「親切なチュートリアル」なのだ。

また、レベルやアイテム、スキルというような概念もRPGではおなじみなものなので、そこまで詳しい説明がなくてもすぐ理解することができる。
つまり異世界転生ものは元勇者、現中年にとってはノスタルジーもあり、年々リソースが減っている脳でもすんなり入り込めるジャンルなのだ。
また、現世ではうだつがあがらなかったが、異世界では無双、という話が多いのも、すでに現世での活躍を諦めた中年にとっては夢があって大変よろしい。

今回紹介するのは、そんな中年の脳と胃にも優しい、スタンダードな異世界転生作品である。

『ダンジョンが思ったよりも深くてどうしようもないので諦めて女の子を口説いていくことにした』
これが今回紹介する作品だ。


主人公の「タケル」は、ご多分に漏れず交通事故に遭い、いつもの女神さまのところにやってくる。
これに関しては作中で「最近は一般認知もされてきたような気がする異世界転生」と表現されている。
異世界転生業界はすでに、「RPGで見たやつだ」と我々が思うのと同じように、転生ものの主人公も「ラノベで読んだやつだ」と思うようになるという二重構造に到達しているようだ。

ちなみに「中年の脳と胃にも優しいスタンダードな異世界転生作品」と言ったが、あれは嘘だ。
嘘ではないが、それはプロローグで終わる。

タケルは交通事故で植物状態になり、謎の女神に「今すぐ元に戻せるが、戻る前に、とある世界のダンジョンを攻略して救って欲しい」と言われる。
初期ドラ焼きに勝るとも劣らない説明不足であり「なんで俺が」だが、タケルは当時16歳、ダンジョンや世界を救うと言われたら、心が勃起しないはずもなく、我慢汁をぬぐう間もなくOKをしてしまう。
ただ逆に14歳とかだったら「その世界に魔王として君臨し、世界を漆黒の闇に染め上げてやろうぞ」とか言い出していたと思うので、むしろ16歳でよかった。

それに対し女神は「マジで? いいの?」というリアクションだったため「元の世界に返さねえとここでウンコするぞ!」とゴネれば帰れたと思う、まことに惜しいことをした。

珍しく異世界転生に前向きな主人公タケルはかなり強い能力をもらい、異世界のダンジョン攻略も破竹の勢いで進め、名の通った冒険者になっていく。

ここまではよかったが、惜しいことに飛ばされた異世界のダンジョンが「クソゲー」だったのである。
クソゲーの定義はさまざまだが、キャラやストーリーがクソというのはまだマシな方である。
なぜならそれをクソと思うかどうかは個人差があるからだ。
だが「ダルい」というのは万人が共通して感じるクソ要素である。

苦労してこそゲームやろがい、と思うかもしれないが、苦労はよくても「不便」や「テンポが悪い」のは嫌であり、現在のゲームはどれだけダルい部分をスキップできるかが肝なのだ。

またゲームに必要なのは「達成感」だ。
なぜダンジョンなる日の光が当たらないカビの巣窟にわざわざ潜るかというと、そこにお宝が眠っているか、「このダンジョンにある指輪を持ってかえれば、伝説の防具をあげるし、ついでに娘を抱かせてやる」と言われているからである。

その点で言うと、タケルが攻略するダンジョンはユーザーレビュー☆1.2ぐらいのクソダンジョンであり、RPGゲームのように10階ごとにスキップできる魔法陣がないのはもちろん、潜るのは1階ずつだが、地上に上がるのは一瞬という魔法もない。
冷静に考えれば、そんな便利機能がついていることの方が不自然なのだが、ゲームの世界では常識だ。
さらにいちばんクソなのは「ゴールが見えない」という点だ、すでに100階まで到達してはいるものの、その後も普通にダンジョンが続き、終わる気が感じられないというありさまだ。

それでもタケルはこのクソゲーに、なけなしのお年玉でソフトを買った小学生の如く10年ほどトライし続けたが、ついに心折れ、酒場と娼館を反復横飛びするダメ冒険者に成り下がってしまった。

本編はここからはじまる、つまり俺たちの冒険が終わったところからがはじまりだ。
ただ、がっかりすることはない、タケルの意欲はなくなっても、彼が冒険者として有能なのは変わりなく、周り、特に女がほっとかないのである。

つまり「俺はもうそんなんじゃないっすよ」と当人はやる気がないのに、周りには人が集まるし、なんだかんだ言ってやる時はやるし、女にもモテるという「こういうの好きやろ?」と言われたら「悪いか!」と言って机をたたくしかない話なのだ。

よって中年の胃に優しいというのはやはり間違いではなく、世界観自体も基本的に平和で、タケルの周りにはさまざまな女子が現われ次々関係を持つも、ドロドロすることはない。

では、タケルの周りに現われる女子を一部紹介しよう。


まず、タケルの行きつけの酒場のウェイトレス「サフィア」。
ほぼニート冒険者と化したタケルに「働け!」とハッパをかける典型的気の強い世話役ヒロインという感じだが、押しに弱いという一面がある。
一般ラノベなら、積極的にアプローチされるといつもの威勢のよさがなくなり大人しくなる、というキャラになりそうだが、なにせアダルトラノベなので彼女の押しへの弱さは「ヤらせてと言われたら断れない」というかたちで表現されている。
店主とも当然関係ずみで、たまに彼に股間に装着させられたバイブの音を鳴らしながら仕事をしているという茶目っ気のあるヒロインだ、やはり一般とアダルトの溝は深い。

続いて新米冒険者のエリー。
冒険者としての才能はあるが、若干頭が悪く、タケルを一方的に敵視したと思ったら、あっさり弟子入りし、タケルにマッサージと称し「リンパの流れが……」とか言われながら体をほぐされ結局ヤられてしまう。
マッサージAVでよく見られる「リンパ」の一点張りでヤれるの法則は異世界でも通じるらしいので、いつ異世界に行ってもいいように覚えておいて損はない。

続いて、タケルが懇意にしている鍛冶屋の弟子「アスフィ」。
彼女は武器の原料となる魔物を見たくてタケルと一緒にダンジョンに潜るが、なにせクソダンジョンなので、簡単に地上と行き来できず、そのあいだの性処理という大役を一任されてしまう。

さらに、実力派パーティ「レオニダス」の一員で、リーダーの剣士「アレス」に恋し、タケルを敵視する美少女魔術師「フィーネ」。

フィーネはタケルを嫌っていたが、アレス含む仲間たちをタケルに救ってもらう代わりにタケルの彼女になるという設定で関係を持つ。

正直最初は、はいはいツンツンしてたエリート美少女の弱みを握ってアヘ顔ダブルピースにするやつね、と思っていたが、いざ行為になるといかにも性経験のない潔癖魔術師と思われたフィーネが、膝でタケルの股間のゴールデンボールを攻撃というレフェリーストップ技を皮切りに、全裸正座、足コキ、騎乗位と、完全にイニシアチブを握ってくるのが意外性があってとてもよかった、これには女攻め好きの拙者もニッコリだ。


ほかにも、タケルの家に居候(いそうろう)するニート狐系獣人のルナなど、さまざまな女子が現われサクっと関係を持ってくれるので非常に読みやすい。
また、タケルは現在飲んだくれ冒険者なので、女子たちは最初タケルを侮蔑していることも多いが、タケルの「TUEEEE」なところを見て態度が変わるのも、俺たちとしてもカタルシスが大きい

ちなみにもうひとり、娼館の娼婦「リン」というヒロインがいる。
彼女はひと言で言えば「大丈夫? おっぱい揉む?」系ヒロインであり、タケルがどれだけ愚痴くさくても嫌な顔せず受け止め「とりあえずヌく?」と最良の提案をしてくれる存在だ。

ほかのヒロインと違い、逆にタケルが冒険者としての能力をなくしても、一貫してこの態度なことがうかがえる。
この最終的な保険が最初から用意されているところも安心して読める要因だ。
全年齢向けのコミカライズ版ではリンとの絡みからはじまっているので、気になる方はチェックしてみてほしい。

しかし、態度が変わらないのは「身受けするから一緒に暮らそう」とマジ告白をした時も同様で、「おっぱい揉む?」と同じトーンで「それは無理だよ~」と返してくる女でもある。

もしかして男にとっていちばんキツイヒロインは彼女なのかもしれない。


ダンジョンが思ったよりも深くてどうしようもないので諦めて女の子を口説いていくことにした
著者:みざ/イラスト:さうざんど

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