【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第38回「毒舌JD」──『咲いたなら、摘まずに愛でよ、姫菫 男嫌いのスミレを本気で惚れさせていちゃいちゃする話』

【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第38回「毒舌JD」──『咲いたなら、摘まずに愛でよ、姫菫 男嫌いのスミレを本気で惚れさせていちゃいちゃする話』

2021/11/05 17:00
【オシリス文庫】「カレー沢薫の淫モラルなラノベ体験」第38回「毒舌JD」──『咲いたなら、摘まずに愛でよ、姫菫 男嫌いのスミレを本気で惚れさせていちゃいちゃする話』


人気漫画家の連載コラム! 「全身貞操帯」「触手エステ」──アダルトライトノベル「オシリス文庫」の個性的なプレイやテーマをカレー沢薫先生が切れ味するどく語ってくれます! あなたの知らなかった性癖が花開いちゃうかも!?



(注:コラム内でオシリス文庫の刺激的な挿絵が登場することがあります。周囲にはお気をつけください)

みなさんは他人に「自分は小中学生時代の同級生と結婚した」と言われたら、どういう反応を示すだろうか。

テレビカメラが回っている場であれば「素敵!」「ロマンチック~」などと、たいして親しくもない人間の新生児を見せられた時と同じ顔で言うかもしれないが、個人的にオフレコであれば「えっ……」と若干引き気味なリアクションをする人の方が多い印象だし、私の経験上では「オボロッ」とうっかり嘔吐音を漏らしてしまう者もいた。

もちろん、それが悪いわけでもまして気持ち悪いわけでもないが、私が引いてしまうのは「俺には無理っす!」という畏敬の念を持ってしまうからである。
我々はあまりに上位すぎる存在に出会うと尊敬を超えて恐怖や嫌悪を感じてしまう愚かな生き物なのだ。

義務教育時代というのは文字どおり成長途中であり、まだIQがロウな姿や昆虫のような動きを見せている段階であり、もれなくお母さんが選んだ服を着ているのだ。
中学生ともなればある程度の分別は手に入れているものの、今度は悪い意味での自我や邪気眼に目覚めてしまっているのである。

つまり、小中学時代というのはのちに「黒歴史」と呼ばれることが多い期間なのである。
むしろ、この時代にそれらを修めておかないと、大学2年生や三十路になってから発症してしまう恐れがあるため、人間が真の大人になるために必要な第二次成長期のひとつと言っても過言ではない。

だが、必要な過程だったとしても、多くの人間がその時期のことを「なかったことにしたい」と願っているものである。
そんな進化の過程で言えば北京原人時代をお互い見たり見られたりしている相手と正気でつきあい結婚するというのは、人並みの黒歴史を持っている者からすれば「半端ない」ことなのだ。
しかし、逆に言えば、授業中にゲロを吐いたり、給食が食えなくて号泣したりする姿を見ても好きというのは、格好をつけたところしか見てないカップルよりも「ホンモノ感」がある。

創作であれば「幼馴染」というのは今でも人気のポジションだが、現実はそんな甘いものではない。
それと同じようにスイートではないのが「初恋の人」である。
なぜなら、子どもが考える魅力と大人が考える魅力と言うのは全く別であり、子供のそれというのは顔の良し悪しではなく「足が速い」のがいちばんかっこいい、というトサカがデカいのがモテる鳥類みたいな世界観なのだ。

よって、大人になって再会してみると本当に「小学生時代足が速いのだけが取り柄だっただけの人」になっている場合も多く、年上というだけで憧れていた近所のお兄さんはただのおっさんになっていたりするのだ。

だがそういうガッカリパターンが多いからこそ、創作上の「子どもの頃出会ったあの人と大人になって再会し結ばれる」という展開を我々は好むのかもしれない。
今回紹介するのもそういう話だ。

『咲いたなら、摘まずに愛でよ、姫菫 男嫌いのスミレを本気で惚れさせていちゃいちゃする話』


実は以前にも、この連載の第8回でお得な電子書籍フェアを紹介した際に対象作品のひとつとして紹介したものだが、もっと読みどころのある作品だから、もう一回紹介しろ、ということだ、何回も推してもらえてうらやましい限りである。

確かに前回は「純愛ハピエンって本当にいいですね」という、無駄と語彙と知力を削ぎ落した感想しか言っていない。
要約するとそういう話だが、そこに至るまでに紆余曲折、そして予想外な展開も多い話なのである。

この物語は主人公の大学生「倉明健人(くらあきけんと)」の少年時代の記憶からはじまる。

健人は偶然同じ年頃の女の子が卑劣なロリコン野郎に凌辱されかかっているのを発見し、自分がなんとかしなければと奮闘し、大人の力を借りつつも、女の子を救出する。

その後、女の子と言葉を交わすことも、名前を知ることもなかったが、その記憶は「俺の全盛期」としてずっと健人の記憶に残り続けることになる。

つまり、女子を変態から守るというMVPを獲得したあと、健人の人生はパッとせず、むしろあの時行動力を全部使い切ってしまったのか、押しが弱く、童貞のまま大学生になっていた。

健人の大学には「須藤(すどう)スミレ」とその親友「安住(あずみ)アカネ」というアイドル的存在がおり、なぜかスミレの方は健人を目の敵にし、ことあるごとに罵倒されるという生活を送っていた。


この罵倒というのが、「鬼しかいねえ」みたいなタイトルのホームドラマでも見ないような長台詞であり、たとえ長台詞になれた役者であろうともこれには「先生、これはちょっと」となるレベルで長い。
(編集部注:こんな感じです。ちなみにこの2.3倍くらいのセリフもあります。
「倉明くん。アンタって、完全無欠、前人未踏、空前絶後のみじめでみっともなくて無能で愚図(ぐず)で息をしていることすら嘆かわしい救いようのない変態よね。ほら、その目。やましい気持ちがないならどうして目を逸らすのよ。しかも目を逸らした先がアタシの首筋って……なに、肌が露出している部分ならなんでもいいの? 身に覚えがあるみたいね。怒るに怒れないみたいな顔して、鼻息を荒くして、男でも口で言い返すことくらいできるでしょ。それとアタシの前にでくの坊みたいに立ち塞がってないですぐに道を開けなさいよ。ほらアカネ、そいつのねぶるみたいな視線に当たらないようにしないと。頭の中でどんな格好で奉仕させられているか、わかったもんじゃないわ」)

スミレは基本的に「男嫌い」なのだが、それでも健人に対する当たり屋ぶりは異常であり、健人も健人で常人であれば半分もいかずに腹パンで黙らせるであろう長罵倒を最後まで聞き、それでいて「なんとなく嫌いになれない」という奇妙な関係が続いていた。

しかし、嫌いではないが好きでもなく、健人はどちらかというとアカネに気があり、ボディガードのようになっているスミレがアカネから離れる瞬間を待っていた。

そしてある日、ついにスミレがアカネから離れどこかへ行くチャンスに遭遇するのだが、その時のアカネの様子がおかしいことが気にかかり「弱みが握れるのでは」という下心もあり携帯のICレコーダーを準備し、スミレのあとを追い、旧校舎へと入っていった。

そして旧校舎で発見したスミレは、発情しきっており、自慰のためにここへきたことが一目瞭然であった。

「瞭然であった!!」と言ってはみたが正直「よくわかったな」と思った。
スミレが全裸でM字開脚をこちらに向けているという、AVでしか見られないファンタ自慰をしていたならわかるが、スミレはまだ服を着ておりほぼまだなにもしてない状態で、ただちょっとバイブを入れられたような表情をしていただけである。

だが、その少ないヒントで「こいつオナりに来よったで」と確信したすご腕プロファイラーの健人は「優等生の須藤さんがこんなところで? ほーん」と揺さぶりをかけると、スミレは明らかに動揺した様子で、客観的に見ればまだ片キンも握ってない状態なのだが、ふたりのあいだでは弱みを握った握られたの関係ができあがったようである。

ではその弱みを盾に、その場でスミレを犯すのかというとそうではない。
それでは冒頭の卑劣漢と同類であり、かつてのヒーローがそこまで落ちていいわけがない、かといって本当になにもしないのでは、話が動かない。

つまり、スミレに自発的にブッこいてもらうしかない。

健人は弱みを盾にスミレにああしろこうしろと命令するわけでもなく、たたひたすら煽り続けたところ、スミレは自発的に服を脱ぎ出し、ファンタ自慰に興じ始めたのである。

やはり今までさんざん「男なんて」と言ってきた女が、男の命令に従うなんて逆に興ざめである、スミレのあくまで主体性を持った行動に、こちらも同性として惜しみない拍手だ。

自らの入念なアップですっかり温まったスミレは、正直ヤろうと思えば思えばヤれる状態だったが、健人は童貞のわりにそこに飛びつかなかった。

健人が望むのは、弱みやその場の勢いでスミレの体をいただくことではない。今までさんざんバカにされてきたスミレに、体を使ったわからせではなく、心からの敗北を認めさせることであった。

そうはいってもボディが大事なエロ小説でここまで本格的な理論バチボコ精神バトルがはじまるとは思わなかった。

スミレは嫌いな男に自慰を見せるような「変態」だと煽ることで、スミレは「変態」を否定するために、健人を「嫌いな男ではない」ということにしなければならなくなる。
そして最終的に「健人のことが好きだから見せた」とスミレに言わせるのである。
もちろんスミレは心からそう言っているのではなく、この場を切り抜けてしまえばどうにでもなるという算段だったのだが、ここで切り札のICレコーダーの存在を明かすなど、抜けはしないが熱い戦いが続き、ついにスミレは完全敗北を認め、健人に恋人として従属することを宣言する。


しかしスミレは命令されなくても自分で脱げる屈強な女なので「私の負けだから、ここで一発やられても私はいっこうに構わん」と、むしろ敗北前より強くなってしまっているのだが、健人はもともと押しの弱い童貞で、スミレに敗北を認めさせたことで「やりきった感」が出てしまい、開き直ったスミレに対し逆に尻込みし「後日再戦お願いします」と言ってその場はお開きとなる。

このように経緯はどうあれふたりは恋人となり、再戦の約束も果たされ、その時にいつのまにか本当に好きになっていたと、お互い明かすことになる。

ちなみに、もう気づいているとは思うが、作品冒頭で健人が助けた少女はスミレである。
しかし、ふたりがその事実を知るのはわりと先の方であり、つきあう経緯には直接関係なかったりする。
確かに鶴ではあるまいし「昔一回助けてもらった」などという一点突破だけでつきあうより、壮絶な舌戦を繰り広げたあと「こいつにはかなわへん、好きや」となった方が長続きすると思う。
しかし、冒頭の話が全く関係ないわけではなく、大きな事件として再びふたりの前に立ちはだかってくるのだが、それは本編で確認してほしい。

過去助けた方と助けられた方が再会というロマンチックな話だが「過去の遺産だけでなんとかなるわけでもない」ということも教えてくれる作品である。


咲いたなら、摘まずに愛でよ、姫菫 男嫌いのスミレを本気で惚れさせていちゃいちゃする話
著者:居澤三角/イラスト:ぐらんで

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